第94号 2005・12・12
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、94号です。
前回と同じことを繰り返し書きますが、バックナンバーを利用しながら、できれば何回も読んで自分なりに考えてみてくださいね。
自分で考えるということが法律の勉強にはとても重要です。
考えるというくせをつけてくださいね。
それから、今日は、表見代理の応用を解説しますので、かなり難しいです。
ですから、難しいのは自分は読みたくないという方は、読み飛ばしていただいてけっこうです。
難しいと思って、嫌になると意味がないですからね(^O^)
それでは、挑戦してみようという方は、読んでみてください。
今日は、紹介する条文は特にありません。
今まで解説してきた、表見代理の3つの類型の応用を解説したいと思います。
■■ 解説 ■■
まず、いつものように具体例をあげますので、一度どうなるか自分で考えてから解説を読むとより、深い理解を得ることができます。
Aさんは、車を買おうと思いましたが、自分で買いに行く時間がないので、Bさんに代理権を与えて自分の代わりに買ってきてもらおうと考えていました。
そこで、Aさんは、車屋であるCさんに、「今度Bさんが自分の代理人として車を買いにくるから、よろしく。」と言いました。
しかし、まだ、代理権は与えていませんでした。
その後、Bさんは代理権がないにも関わらず、Aさんの代理人であるとウソを言って、車屋と不動産屋も経営しているCさんから土地を買ってきました。
さて、この場合の法律関係はどうなるでしょう?
少し考えてみてください。
さぁ、どう思いましたでしょうか。
ここで、いきなり109条の表見代理が成立するから、Bさんの代理契約は有効になる、と考えた方は、もう一歩です。
いきなり109条に飛びつくのではなく、まず、原則論はどうなるのかということを考えましょう。
Bさんには代理権がないので、Bさんがした不動産の契約は無権代理で本人Aには効果帰属しません。
これが大原則です。(バックナンバーの99条の解説を見てください。)
しかし、Aさんは、Cさんに対して「Bさんに代理権を与えた。」と言っていますので、109条の授権表示による表見代理が成立する可能性があります。
しかし、結論からいいますと、109条の表見代理は成立しません。
109条の成立要件を覚えているでしょうか。
忘れた方は、バックナンバーを見てくださいね。
そうです、109条の成立要件として「代理権の範囲内にあること」が必要でしたよね。
しかし、本件では、Aさんは「車を買いにくるから」とCさんに言っています。
つまり、車を買うという代理権をCさんに表示しただけで、「土地を買うという代理権」は表示していないのです。
ですから、109条の「代理権の範囲内にあること」という要件を欠きますので、109条の表見代理は成立しません。
でも、そう考えると、代理権があると信じたCさんがかわいそうですよね。
ここで、ちょっと考えてください。
110条は、代理権の範囲を超えた場合の表見代理でしたよね。
とすると、109条だけだと表見代理は成立しないけども、110条も合わせて適用すると、表見代理が成立しますよね。
そこで、新しい技術の紹介です。
それが、重畳適用というものです。
つまり、代理権を与えたということを表示したという部分を109条、代理権の範囲を超えているという部分を110条で補うというわけです。
柔道の合わせ一本みたいなものですね。
ですから、さきほどの事例の場合は、109条と110条の重畳適用により表見代理が成立し、Bのした代理行為は有効になり、契約の効果がAさんに帰属することになります。
■■ 豆知識 ■■
解説したのは、109条と110条の重畳適用でした。
でも、他にも組み合わせがありますよね。
これは、ここまで読んでくださった方であれば、かなりの実力者だと思いますので、一度自分で考えてみてください。
■■ 編集後記 ■■
今日は、めちゃくちゃ難しかったと思いますので、分からなかったという方も気にしないでくださいね。
次回から、またいつもどおり、条文の解説をしていきたいと思います。
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