第68号 2005・9・29
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、90条ですが、極めて重要な条文です。
伝家の宝刀ともいえる条文の一つです。
以前に紹介した、1条3項なども伝家の宝刀の一つですが、今日は、90条「公序良俗」という条文の紹介です。
▼▼▼ 第90条(公序良俗) ▼▼▼
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
■■ 解説 ■■
この条文の趣旨は、法律行為の目的が反社会性を帯びるときにその効力を無効とすることにより、法律行為の社会的妥当性を保護しようとしているものです。
といっても、よく分からないですよね。
例えば、こんな判例があります。
甲さんは、愛人である乙さんと愛人関係を維持するため月にいくらかの金を乙さんにあげるという契約をしていました。
いわゆる愛人契約です。
しかし、その後、甲さんは金がなくなったので、乙さんに金を払うことができなくなりました。
そこで、乙さんは、裁判所に訴えました。
さて、どうでしょう。
この場合でも契約をしている以上、乙さんが勝つとも思えますよね。
法的にも一応契約は有効に成立しているようにも思えます。
しかし、こんな愛人契約なんてものを認めると、あまり社会的にはよくないとされているわけです。
これが、本当にいけないことなのかどうかは置いといて、一般的には、ダメなようです。
ですから、こういう反社会的な契約は、きちんとした本人同士の契約があっても、公序良俗違反で無効となります。
つまり、乙さんは、裁判をしても負けるということになります。
法律的には、契約は成立しているので、乙さんが勝ってしまう。
条文を探しても、解釈をしても、乙さんを負かすことはできない。
でも、乙さんを勝たすと、愛人契約というものを裁判所が認めてしまうことになる。
これは、困った!!どうしよう。ということになるわけです。
そこで、最終手段として登場するのが、90条です。
こういう意味で伝家の宝刀といわれるのです。
つまり、いつでも使えるわけじゃないんですね。
だって、いつでも使える、つまりいつで法律行為を無効にすることができるとなると、他の条文が全く意味のないものになってしまいますよね。
555条は売買契約を規定しています。
売買契約をしたのに、常に90条で無効になる、ということになれば、わけがわからないですよね。
法律なんて、無いも同然になってしまう。
ですから、90条のような伝家の宝刀は気軽に使うことはできない。
他の条文や法律を使って解決できない。
でも、どうしてもこんなやつを勝たせるわけにはいかない。
こういうどうしようもない時に、伝家の宝刀として90条が適用できるわけです。
■■ 豆知識 ■■
法律を勉強し始めて最初の頃は、何でもかんでも、90条の公序良俗で解決してしまおうとします。
「困ったときは公序良俗」という言葉もあるくらいです。
でも、さきほども言ったように、これは最終手段です。
簡単に使うことはできないということを分かっておいてください。
■■ 編集後記 ■■
せっかくメルマガを書いているんだから、もちろん自分の書いたものは保管しているわけですが、せっかくだから、公開しようと思って今までのバックナンバーを公開するための新しいサイトを作りました。
といっても、ブログをちょっといじった簡単なものなのですが。
まだ、未完成なのですが、一応紹介しておきます。
途中から、購読された方は、ぜひ参考にしてください。
それから、今回の条文と関連している1条3項の権利濫用が適用されたおもしろい判例を解説したものを紹介しておきます。
一度、まだ未完成ですが、新しいサイトを見てください。
それから、判例の解説は、私が発行しているもう一つのメルマガである、「知ってて得する法律知識!実際の判例から解説!」で以前に紹介したものです。
登録されていなくて、興味のある方は登録フォームへのURLを紹介しておきますので、登録してください。
発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/
日本で実施されている資格を調べるには資格キングをご利用下さい。
なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。
【YouTube】独学応援!行政書士塾
YouTubeで行政書士試験対策講座を配信しています!ぜひチャンネル登録を!
管理人の著書
【行政書士試験の最短デジタル合格勉強法。iPadを活用した新時代の勉強法】Amazonで絶賛販売中!
メールマガジン登録
このサイトは、まぐまぐより発行している無料メルマガのバックナンバーです。最新号を早く読みたい場合は、無料メルマガの登録をお願いします。登録はこちらから。