第64号 2005・9・23

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。またしても、しばらく間が空いてしまいました。ほんとに、毎日というのは大変です。

さて、前回あたりから、いよいよ重要な条文の解説に入ってきております。

今日は、86条ですが、みなさんもよく知っている言葉の解説ということになるかと思います。

それでは、はじめましょう。

▼▼▼ 第86条(不動産及び動産) ▼▼▼ 

1項
土地及びその定着物は、不動産とする。

2項
不動産以外の物は、すべて動産とする。

3項
無記名債権は、動産とする。

■■ 解説 ■■

不動産という言葉は、みなさんもよく聞かれると思います。

それともう一つ対になる概念が動産です。

不動産というのは、「土地及びその定着物」です。

つまり、みなさんがイメージしている土地と家が不動産ということです。

ただ、立木、つまり木ですね。

これは、地面に根を伸ばして土地に定着しているわけで、しかもとても高価な木というのもあります。

こういう、立木については、立木法というのがあって、その法律によって規定されている立木については、不動産として扱われます。

不動産といっても、土地と家だけではないので注意してくださいね。

そして、3項の無記名債権というのが、たぶん意味がわからないと思います。

正確に法律の定義でいうと、「証券に債権者を表示せず、債権の成立・存続・行使がすべて証券によってなされる債権」をいいます。

難しいですが、例えば福引券などです。

福引券には、誰の名前も書いてありませんよね。

誰でもいいから、とにかく福引券を持っている人が福引きをすることができます。

反対に、記名債権というのは、証券に債権者の氏名が表示されているものです。

例えば、約束手形などです。約束手形は振り出す時に、相手の名前を書きますよね。

つまり、債権者の名前が書いてあるので記名債権と呼ばれます。

そして、無記名債権については、動産として扱いますよ、というのが3項です。

民法は、いろいろな場面で、動作と不動産を区別しています。

ですから、問題となっている物が動産なのか、不動産なのかというのが、とても大きな問題になってくるわけです。

そこで、この86条は、何が不動産で、何が動産なのかということをしっかりと規定しているわけです。

■■ 豆知識 ■■

無記名債権は、動産として扱われますので、動産についての規定である192条(即時取得)が適用されます。

また、海は、一定の条件のもとで、不動産として認められる場合があります。

この2つは、法律系の資格試験で出題されることがありますので、覚えておいて損はないと思います。

■■ 編集後記 ■■

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