第63号 2005・9・17

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。さて、今日からは、少し重要な条文の解説に入っていきます。

このあたりから、しっかりと読んでくださいね。

今日は85条です。

▼▼▼ 第85条(物の定義)  ▼▼▼

この法律において物とは有体物をいう。

■■ 解説 ■■

すごく短い条文です。

なんじゃこれは!と思われた方もいるかもしれません。

これから民法を勉強していくにあたって、「物」という言葉がよく出てきます。

これを、法律の世界では、「ぶつ」と呼ぶことが多いです。

本当は「もの」なんですが「者」という字と間違えないように「ぶつ」と呼ぶのだと思います。

85条は、物=有体物と定めていますが、これは実はあまり意味のない条文だといわれています。

なぜなら、有体物というのは形ある物ですよね。

つまり、目に見える物です。

しかり、民法では、権利の上に物権が成立することが認められていますので、85条は、物権の対象を限定する意味は有していないのです。

■■ 豆知識 ■■

先ほど、権利の上にも物権が成立するといいましたが、その例としては転抵当権(376条1項)などがあります。

転抵当権についてはいずれ、紹介するとして、今日は、物権を理解していただきたいと思います。

まず、物権とは正確な定義をすると、「物を直接的・排他的に支配する権利」をいいます。

もう一つの概念としては債権というものがあるのですが、それはまた後日説明します。

さて、物権ですが、一番典型的な物権は、みなさんもご存知の所有権(民法206条)です。

例えば、みなさんが自分の車を持っていたとします。

これを法律的にいうと、車の所有権はみなさんにあることになります。

つまり、みなさんは自分の車を誰の了承を得ることもなく使うことができるし、自分の車を他人が勝手に使っていれば、「返せ!」と言うことができます。

これが、所有権なのです。

つまり、誰の了承を得ることもなく使うことができるというのは、先ほどの「直接的」という部分で、他人が勝手に使っていれば「返せ!」ということができるのは、先ほどの「排他的」という部分にあたることになります。

少し難しい話だったかもしれませんが、だんだん分かってくると思いますので安心してください。

よく、物権とか債権とかいう言葉は使われますが、この簡単そうな言葉でも実はすごく難しい問題がいろいろとあるのです。

あ、それから「物権」と「物件」を混同しないでくださいね。

「お客さん!いい物件がありますよ!」というのが物件ですが、民法で出てくるのは「物権」です。

字が違いますので、注意してください。

■■ 編集後記 ■■

最近、毎日ビールを飲んでいるような気がします。

いろんなビールを飲むほうなのですが、今大流行のベルギービールというものを注文しました。

私も、よく知りませんが、「モノ・マガジン」や「ノンノ」などの雑誌、また「日経新聞などでも取り上げられ、ブレイクの兆しがあるようですよ。

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