第396号 2018・11・12

■■ はじめに ■■

みなさん。おはようございます。

引き続き保証の解説です。

今回の条文は3項まであって少し長いですが、内容としてはそれほど難しくないので安心して下さい。

さて、昨日は行政書士試験でした。

この読者の中にも受験された方がたくさんいると思いますが、どうだったでしょうか?

最近の行政書士試験は、難しくなっているので、暗記型の勉強よりも暗記と理解を中心とした勉強をする方が合格しやすいように思います。

特に民法は、要件・効果、趣旨から考えるという癖をつけておけば、暗記しなければならない量を減らせるし、知らない問題が出た時にもその場で考えて対処する事ができます。

昨日、行政書士試験を受験された方は、難しかったとか、簡単だったとか何でもいいので、教えていただけると嬉しいです。

このメールに返信していただければ、直接私にメールが届きます。

それでは、始めていきましょう。

▼▼▼ 第450条(保証人の要件) ▼▼▼

1項
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
1.行為能力者であること。
2.弁済をする資力を有すること。

2項
保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。

3項
前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

■■ 解説 ■■

条文を読んでいただければだいたい理解できると思うのですが、一応簡単に解説します。

まず一般論として、保証人となる資格については何ら制限はありません。未成年者などの制限行為能力者であっても債権者が了承して、保証契約を結べば有効に成立します。

ただ、制限行為能力者の場合、法定代理人の同意を得ていないなどの理由で後ほど取り消される可能性はあります。

今回の450条が定めているのは、債務者が特に保証人を立てる義務を負っている場合についての規定です。

「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」というのは、例えば、債権者と債務者間の契約で100万円を貸し付けるけど、必ず資力のある保証人を立てること、という条件が付いているような場合です。

債務者の立てた保証人が、1項各号の2つの要件を充していないいない場合、債務者の担保提供義務の不履行となり、債務者は期限の利益を失うし(137条3号)、債権者は契約の解除をすることもできます(541条)。

なぜなら、債権者と債務者間の契約の内容として、保証人を立てるという事が含まれている以上は、保証人の資格というのは、主たる契約を維持するかどうかを決する重要な事項だからです。

1項1号が行為能力者であることを要求しているのは、制限行為能力者の場合、保証契約が取り消される可能性があり債権者にとって不安定で不利だからです。

法定代理人の同意を得るなどして、有効な取り消すことのできない保証契約を結ぶこともできるのですが、民法は安定性を重視して一律に制限行為能力者は保証人になれないと定めています。

1項2号が弁済をする資力を有することを要求しているのは当然ですよね。弁済の資力の無い人を保証人に立てられても債権者としては何のメリットも無いわけですから。

2項は、保証人が、弁済をする資力を失った時は、1項各号の要件を充す別の保証人を立てることを請求できることを規定しています。

弁済の資力が無くなった保証人を立てられていても意味が無いからですね。

3項は、債権者が保証人を指名した場合の規定です。

債権者が、制限行為能力者や無資力者を保証人として指名した場合は、450条1項、2項が適用されずそのまま有効な保証人になるということです。

理由は、債権者が自ら不利になるような保証人を指名したわけですから、債権者を保護する必要性は無く、そのままでいいだろうと考えられるからです。

■■ 豆知識 ■■

細かい話なので、読み流していただければいいのですが、2項は、1項1号の場合を挙げていません。

つまり、行為能力者であった保証人が、後に制限行為能力者となった場合でも、新しい保証人を立てることは請求できません。

その理由は、行為能力者が後に制限行為能力者となったとしても、保証契約に影響は無いからです。

行為能力者の時に有効な保証契約を締結しているので、後に制限行為能力者となったとしても、保証債務の効力に影響は無く引き続き保証債務を負うから、新しい保証人を立てることを請求する必要性が無いわけです。

行為能力者が制限行為能力者になったからといって、突然弁済する資力が無くなる訳でも無いですよね。

ちなみに民法450条は改正されていません。

■■ 編集後記 ■■

今回の条文は、内容的には難しくはなかったと思いますが、細かいので知識として覚えておくのはけっこう大変かと思います。

前述したように、原則として保証人は誰でもなる事ができます。

ただ、債務者が特に保証人を立てる義務を負う場合には、例外として450条が適用されるという事なので、注意して下さいね。

それでは、次回もお楽しみに。

発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/

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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

つい先日、レクサスからもうすぐ発売されるUXという車を見に行ってきました。

レクサスの中では買いやすい価格帯で、サイズもコンパクトながら、レクサスらしい作り込まれたインテリアとカチッとした感じがあってすごくいい車でした。

最近のレクサス車は本当にいい車になってきていると思います。

日本企業として、ドイツのジャーマン3に負けない車作りをして欲しいですね。

それから、もうすぐ来るであろう自動運転車の時代に、アメリカや中国のIT企業に負けないように頑張って欲しいです。

そういう意味では、先日のトヨタとソフトバンクの提携はすごくよかったと思います。

あとは、その提携が本当に成功するのかどうかですね。

あの時の記者会見では、豊田社長と孫社長の目指している方向性が少しズレているように感じたので、正直あまりうまくいかないだろうなと思っています。

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