第310号 381条 2008・2・17
■■ はじめに ■■
みなさん、こんにちは。今日は、381条の解説です。
内容も難しいものではないですし、重要性も低いので、余裕があれば結論だけおぼえておけばいいという程度です。
楽にいきましょう。
それでは、さっそくはじめていきましょう。
▼▼▼ 第381条 ▼▼▼
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
■■ 解説 ■■
この条文は、よく考えてみると何も難しいものではありません。
あたりまえのことなので、わざわざ条文を規定する必要もなかったのではないかと思うようなものです。
ただ、停止条件という言葉を正確に理解している必要があります。
停止条件の解説は、127条からのバックナンバーで公開していますので、意味がわからないという方は確認しておいてくださいね。
→ 127条のバックナンバー
抵当不動産を停止条件付きで取得し、その停止条件が未だ成就していない場合には、抵当権消滅請求をすることができないと規定しています。
例えば、Aさんに対して、1000万円の債権を有しているBさんが、その債権を担保するためにAさんの土地に抵当権を設定しました。
その後、Aさんの土地をCさんが購入する契約を締結しましたが、その契約には、「Cさんが1000万円貯金することができれば」という条件が付いていました。
つまり、Cさんが、きちんと1000万円を支払うことができるだけの貯金ができた時点で、はじめて契約の効力が発生するのです。
とすると、現時点では契約の効力はまだ発生しておらず、Cさんは土地の所有権をまだ確定的に取得していません。
簡単にいうと、現時点では「抵当不動産の第三取得者」ではないのです。
379条で抵当権消滅請求をすることができる者は「抵当不動産の第三取得者」であると規定していましたよね。(バックナンバーで確認しておいてください。)
要するに、抵当不動産を停止条件付きで取得し、その停止条件が未だ成就していない時点では、379条の規定する抵当権消滅請求をすることができる「抵当不動産の第三取得者」とはいえないのです。
抵当不動産を停止条件つきで取得した場合、その者は未だ確定的な第三取得者ではないのです。
ですから、この条文は、あたりまえのことを規定しているだけともいえます。
■■ 豆知識 ■■
今日は、特にありません。
ただ、さきほど出てきた「停止条件」という言葉を素材に徹底的に分析することの重要性を認識しておいてください。
「停止条件」という4文字の短い言葉ですが、これですらさらに分解することができます。
「停止」と「条件」ですよね。
このように、文章を徹底的に緻密に分析するクセを付けておくことで、論理を深く理解することができます。
■■ 編集後記 ■■
今日の条文はそれほど重要でもないですし、考えればわかることですので理解さえしていただければ十分です。
法律とは関係のない話ですが、「運は数学にまかせなさい」という本を読んでいます。
確率論、統計学の勉強になる本なのですが、なぜカジノは絶対にカジノ側が勝つようになっているのかなど身近な具体例で書かれていますので、おもしろいです。
まだ、全部読んでないのですが、最初に出てくる「バースデー問題」についての記述が非常におもしろかった。
みなさんならどちらに賭けるか一度考えてみてください。
23人が出席しているパーティーがあります。
その参加者の中で、誕生日が同じ人がいるかいないか(月と日だけ)あなたならどちらに賭けますか??誕生日が同じ人がいると思いますか?
いないと思いますか?さらに、41人が出席しているパーティであれば、あなたはどちらに賭けますか??
それでは、次回もお楽しみに!!
発行:株式会社シグマデザイン
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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。
(裏編集後記)
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私たちは、全ての事物が不確実な中で生きています。
そんな世界に生きているからこそ、確率論や統計学を学ぶ意義があります。
確率論や統計学を学ぶことによって、感情的に不合理な決断をすることなく、ロジカルに合理的な決断をすることができるようになります。
さきほど紹介した「運は数学にまかせなさい」は、ほとんど数式を使わずに文章で身近な問題をわかりやすく解説しているので、文系の方に特におすすめの本です。
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