第240号 2007・1・31
■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。
今日は、民法302条の解説になります。民法302条も、内容自体は簡単ですので、すぐに理解することができると思います。
ただ、前回と同様で考え方が大事です。
さて、このメルマガの読者の中には女性の方もたくさんいらっしゃるようです。
第302条(占有の喪失による留置権の消滅)
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、第298条2項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。
■■ 解説 ■■
条文を読んだそのままです。
なぜ、留置物の占有を失うと留置権は消滅するのでしょうか?
形式的な理由としては、留置権の成立要件を欠くからです。ここで、もう一度留置権の成立要件を確認しましょう。
〜留置権の成立要件〜
1、債権と物との牽連性(「その物に関して生じた債権を有する」)
2、債権が弁済期にあること
3、留置権者が他人の物を占有していること
4、占有が不法行為によって始まったものでないこと(2項)
この4つの要件をすべて充たした時に、留置権は成立します。
しかし、物の占有を喪失してしまった場合には、3の要件を欠くことになってしまいます。
少し難しい言葉でいえば、物の占有は、留置権の成立要件でもあり、存続要件でもあるということです。
そして、もう一つ留置権の本質から説明することができます。
そもそも、留置権というものは、他人の物を占有することによって、債務の弁済を促す物権でした。
つまり、他人の物を留置して、「返して欲しければ、債務を弁済しろ!」ということができる権利なのです。
とすると、物の占有を失ってしまえば、そのような事は言えなくなり、留置権の目的を果たすことができなくなってしまいます。
以上のような理由で、物の占有を失ったときは、留置権が消滅するのです。
但し書きは、読めばわかると思います
。例外として、留置権が消滅しない場合があることを定めています。
298条2項が、賃貸や質入をすることを認めているのですから、その場合には、当然留置権は消滅しません。
法が認めておいて、にもかかわらず留置権が消滅するというのは背理だからです。
■■ 豆知識 ■■
物の占有を失った場合、その時点で、留置権は消滅しますので、留置権を根拠に物の返還請求をすることはできなくなります。
ただし、以前に勉強した占有回収の訴えはすることができます。
細かいですが、法律系の資格試験にはよく出題されますので、受験生の方は覚えておいてください。
■■ 編集後記 ■■
今日も、内容自体は簡単でした。でも、その考え方が大事です。
わからなくなったときは、そもそも本質は何だったのか?ということを考えるとすぐにわかることが多いです。
また、形式的に要件にあてはめるという練習をしていれば、その場で考えることが可能です。
試験でもよくわからない問題が出たときにあせるのではなくて、落ち着いて、要件を一つずつ検討したり、そもそも本質は何だったのか、ということを考えると正解にたどりつけるものです。
それでは、次回もお楽しみに!!
発行:株式会社シグマデザイン
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(裏編集後記)
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会社法の勉強を本格的にやっています。
改正の部分も含めて細かい部分もやっているので、少しずつ分かってきました。
何でも、わからないうちはつまらないし、大変です。
でも、分かってくればおもしろくなってきます。
それまで我慢できるかどうかが重要です。
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