第202号 2006・9・2

■■ はじめに ■■

みなさん、こんにちわ。今回は、民法252条を解説したいと思います。

前回、解説した民法251条とセットで勉強すると一気に理解が深まるかと思います。

それでは、はじめていきましょう!!

▼▼▼ 第252条(共有物の管理) ▼▼▼

共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

■■ 解説 ■■

さて、今日も共有の解説です。

前回は、共有物に変更を加える場合には、他の共有者の全員の同意を得なければならないということを解説しました。

今回は、「変更を加える」場合ではなく、「管理」する場合と、「保存行為」をする場合についての規定です。

まず、「管理行為」をする場合には、各共有者の持分の過半数で決しなければなりません。

「管理」というのは、目的物を利用改良する行為を意味し、賃貸借契約の解除をする場合などが「管理」にあたります。

例えば、A、B、Cさんが、ある家を共有していたとし、その家を甲さんに貸していました。(各持分は平等だったとします。)

この場合、Aさんは、この家の賃貸借契約を解除したいと考えていましたが、BCさんは解除することに反対でした。賃貸借契約は、「管理」にあたりますので、解除するためには、持分の過半数以上が必要となります。

しかし、Aさんは、持分の3分の1しか有していませんので、解除することはできないということになります。

これを規定しているのが、民法252条本文です。

次に、民法252条ただし書きですが、保存行為は各共有者がすることができる、と規定しています。

つまり、保存行為は、各共有者が自分の持分に関係なく、自由にすることができるということです。

「保存行為」というのは、共有物の現状を維持する行為を意味し、目的物の修繕などが「保存行為」にあたります。

たとえば、さきほどの事例で、Aさんが解除するのではなくて、家の修理をしようと考えていたとします。

家を修理することは、「保存行為」にあたりますので、たとえBCさんが反対したとしても、Aさんは自由に修理をすることができます。

これを規定したのが、民法252条ただし書きです。

■■ 豆知識 ■■

民法251条と民法252条をまとめたいと思います。

変更行為をするには、共有者全員の同意が必要(民法251条)管理行為をするには、持分の過半数が必要(民法252条本文)保存行為をするには、各共有者が自由にできる(民法252条ただし書き)この3つを見比べたときに、下にいくほど要件が緩やかになっていることに気づかれるはずです。

理由はなぜでしょうか?ちょっと考えればわかると思いますが、下にいくほど、共有物に対する影響が少ないからです。

変更というのは、共有物の性質もしくは、形状または、その両者を変更することで、田を畑にする場合が変更にあたりましたよね。

つまり、田を畑にするとなれば、共有物への影響が大きく、各共有者が受ける利害関係もとても大きいわけです。

こんなことを勝手にされては困ります。

だから、全員の同意が必要ということになっているわけです。

反対に、保存行為だと、目的物を修繕したり、共有物の現状を維持するだけですので、各共有者に対する影響はそれほど大きくありません。

つまり、自由にそれを認めても他の共有者に与える影響はほとんどないので、自由にすることを認めているわけです。

■■ 編集後記 ■■

この民法251条と民法252条は、法律系の資格試験には、よく出題されますので、しっかりと理解しておく必要があります。

ただ、一度理解してしまえば、何も難しいことはありません。

〜思考パターン〜

1、その行為が、「変更行為」、「管理行為」、「保存行為」のどれにあたるのか。

2、保存行為にあたれば、自由にできる。

  変更行為にあたれば、全員の同意があるのか?

  保存行為であれば、その共有者の持分が過半数あるのか?

このパターンに乗せれば、問題なく解くことができます。

発行:株式会社シグマデザイン
http://www.sigmadesign.co.jp/ja/

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なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることができません。解除フォームよりご自身で解除していただきますようお願いいたします。

(裏編集後記)

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季節の変わり目だからかもしれませんが、最近、少し体調が悪いです。

みなさんも、体調を崩さないように、注意してくださいね。

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