第128号 2006・2・5
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。
昨日は、ちょっとしたミスで夜中の配信になってしまいました。
さて、今日は、民法149条の解説です。
この149条は、さらっと理解するのは簡単ですが、深く考えると恐ろしく難しいという条文です。
ですから、深入りせずに、とりあえず一応の理解だけしておきましょう。
それでは、さっそくはじめましょう!!
▼▼▼ 第149条 (裁判上の請求) ▼▼▼
裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。
■■ 解説 ■■
さて、147条を覚えているでしょうか?
147条はある一定の事由があったときに時効が中断すると規定していましたよね。
そして、その一つとして1号が「請求」を規定していました。
「請求」とは、何らかの裁判所による手続きが必要だということも解説しました。
この149条が規定している、「裁判上の請求」というのが、まさにこの147条1号の「請求」にあたります。
ですから、請求があった以上、時効が中断するのが原則ということになります。
しかし、149条は、「訴えの却下又は取下げ」があった場合には、時効の中断の効力が生じないと規定しています。
訴えの却下や取下げというのは、民事訴訟法の勉強をしないと詳しくは分からないので、ここでは、とりあえず詳しくは説明しません。
簡単に言うと裁判所が、事件の中身をきちんと裁判せずに、裁判が終了したような場合です。
そして、この訴えの却下や取下げがあった場合には、時効中断の効力は生じないと規定されています。
つまり、裁判上の請求があれば、147条1号の「請求」にあたりますので、時効は中断するのですが、その後訴えの却下や取下げがあった場合には、遡って時効は中断しなかったことになるのです。
とりあえず、これだけ覚えておいてください。
ここからは、難しいので、読み飛ばしていただいてもかまいません。
時効の趣旨というのを覚えているでしょうか?
時効制度の趣旨の中に、「権利の上に眠る者は保護されない」というのがありましたよね。
ただ、この時効の趣旨からすると、149条はうまく説明することができません。
というのも、訴えが却下されたり、取下げがあったとしても、一応裁判上の請求はしているわけです。
とすると、権利の上に眠っているということは言えなくなりますよね。
裁判上の請求をした以上は、権利を行使したわけです。
なのに、その後に訴えの却下や取下げがあると時効は中断しなかったことになります。
これは、ちょっと論理的に説明するのは苦しいですよね。
そこで、最近ではそれを説明するために有力な学説が登場しているようです。
ただ、それはほんとに難しいので、ここで説明するのは控えておきたいと思います。
また、機会があれば解説したいと思います。
とりあえず、149条は覚えておいてください。
■■ 豆知識 ■■
「裁判上の請求」ですが具体的にどのようなものがあるかというのは、民事訴訟法の勉強が必要になります。
ですので、詳しくは説明しませんが、具体例をいくつかあげておきますので、参考までに。
給付の訴え、確認の訴え、形成の訴え、本訴、反訴なです。
■■ 編集後記 ■■
時効は、ほんとに難しいですよね。
自分自身もまだ完全に理解することができていません。
学者のあいだでもいろいろな意見があるところのようですので、仕方ないのかもしれませんが
とりあえず、最低限のことを理解することができれば十分かと思います。
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