第117号 2006・1・22
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。
前回のメルマガで一部誤植があったので、訂正させていただきます。
条文の2項の最後の部分です。
ということで、今日は2項と3項の解説したいと思います。
それでは始めましょう!!
▼▼▼ 第131条(既成条件) ▼▼▼
1項
条件が法律行為の時に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
2項
条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
3項
前2項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第128条及び第129条の規定を準用する。
■■ 解説 ■■
1項は、条件が既に成就していた場合の規定でした。
反対に2項は、条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合の規定です。
停止条件である時は無効、解除条件である時は無条件、となります。
さて、例によって具体例をあげて説明したいと思います。
まず、停止条件の場合で、条件の不成就が既に確定している場合です。
〜具体例1〜
Aさんが、Bさんに「東大に合格したら、車をあげる」と言いました。しかし、その時すでにBさんは東大に不合格になることが既に確定していました。
この場合、東大に合格するという条件が成就するとBさんは車をもらえるわけです。
しかし、既に東大に不合格になることが確定しているわけですから、条件が成就する可能性はありません。
つまり、車なんて絶対にもらえないわけです。
絶対にもらえない契約なんてひどい契約ですし、意味がありませんよね。
ですから、このような契約は無効になります。
次に、解除条件の場合で、条件の不成就が既に確定している場合です。
〜具体例2〜Aさんは、Bさんに「留年したら、仕送りを停止する」と言いました。しかし、その時すでにBさんは留年しないことが確定していました。
この場合、留年するという条件が成就すると仕送りを停止されるわけです。
しかし、既に留年しないことが確定している、つまり留年するという条件が成就しないことが確定しているわけですから、仕送りを停止されることは絶対にないということになります。
とすると、そのまま仕送りをもらい続けることができるわけです。
つまり、無条件となるわけです。
最後に3項の解説を軽くしておきます。
「前2項に規定する場合」と書いてありますが、これは131条の1項と2項のことです。
131条1項と2項の場合で、当事者が条件が成就したり、成就しなかったことを知らない間は、128条1項と129条が準用されることになります。
条文そのままの内容ですが、これ以上説明することはありません。
そのまま読めば分かると思いますし、それほど重要なものでもないので気にしないでください。
128条と129条の内容はバックナンバーで確認しておいてください。
■■ 豆知識 ■■
131条3項は、「第128条及び第129条の規定を準用する」と規定しています。
「準用」という言葉を使っていて、「適用」という言葉を使っていません。
なぜだかわかるでしょうか?
これは、128条と129条をよく読めば分かると思うのですが、128条と129条は「条件の成否が未定である」場合の規定です。
しかし、131条の場合は、当事者が条件の成就や不成就を知らないとはいえ、条件が成就している場合の規定ですよね。
法律行為の時に、既に条件が成就しているとか、既に不成就に確定している場合の規定なわけですから。
だから、適用場面が違うので、直接に「適用」することはできないんです。
ただ、同じようなことだから「適用」は無理だけど「準用」しましょう、ということだと思います。
「適用」と「準用」、同じような言葉でややこしいのですが、余裕のある方はこれから条文を読む時には意識してください。
■■ 編集後記 ■■
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