第115号 2006・1・17

■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。昨日は、ライブドアがガサ入れを受けたみたいですね。

ホリエモンの自宅も捜索を受けたみたいで、これからどうなるのでしょうかねー。

さて、今日は民法130条の解説です。

130条は、内容はそれほど難しくはないのですが、重要な条文ですので、頑張って理解してください。

▼▼▼ 第130条(条件の成就の妨害) ▼▼▼

条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

■■ 解説 ■■

さて、どうでしょうか?条文だけを読んでも分かりにくいと思います。

条文だけ読んである程度理解できた方は、今まで説明してきた条件についての理解がかなり進んでいる方だと思います。

では、例によって具体例を挙げて説明します。

Aさんは、ある土地を売ろうと思ったのですが、自分で買い手を探すのがめんどくさいので、不動産業者であるBに、売買を依頼しました。

そして、買い手を見つけてきて、自分の代わりに土地を売ってきてくれることを条件に一定の報酬を支払うことを約束しました。

よくある契約ですよね。

自分の土地を売ってきてもらう代わりに手数料を支払うというような契約です。

その後、不動産業者であるBは、買い手であるCを見つけてきました。

その時、ここぞとばかりに、Aが勝手にCと売買契約の締結をしてしまいました。

このような場合が一番典型的に問題になる事例です。

まず、普通に考えると、BはCと売買契約を締結することができませんでしたので、条件は成就していませんよね。

Aが直接にCと契約をしてしまったわけですから。

とすると、せっかくBは買い手であるCを探してきたのに、報酬を得ることができなくなります。

でも、こんなバカな話はないですよね。

買い手を探してきて、売ろうとした時に、突然Aが出てきて勝手に契約してしまったんですから。

ですから、このような場合は、Bは条件が成就したとみなすことができるとしたのです。

したがって、Bは条件が成就したとして、Aに報酬を請求することができます。

さきほどの事例を条文に合わせて考えてみます。

まず、「条件が成就することによって不利益を受ける当事者」というのは、Aです。

なぜなら、条件が成就すると、Bに対して報酬を支払わなければなりませんから。

そのAが、「買い手を見つけてきて土地を売る」という条件を成就する寸前に、横取りするような感じで故意に妨害したわけです。

ですから、「相手方」であるBは条件を成就したものとみなすことができ、報酬を請求することができることになります。

■■ 豆知識 ■■

130条は、「故意」に条件の成就を妨害した場合にのみ適用されます。

つまり、「過失」によって条件の成就を妨害した場合には、130条は適用されません。

さきほどの、事例だと明らかに故意と認められるでしょう。

■■ 編集後記 ■■

条件や期限などという言葉の意味を理解するのが大変だと思います。

わからなくなったら、もう一度しっかりと言葉の意味を確認するという作業を繰り返してくださいね。

何度も何度もそういう地道なことをしていると、考えなくもすぐにイメージすることができるようになります。

私も、法律の勉強を始めたころは、債権者と債務者という言葉も考えないとイメージできなかったような記憶があります。

法律の言葉は難しいので、まずは言葉に慣れるように頑張りましょう。

発行:株式会社シグマデザイン
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