第101号 2005・12・26
■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は101号です。
前回は、117条の1項だけを解説しましたので、今回は、2項を軽く説明して終わりたいと思います。
それほど、難しくもないので、すぐに理解できると思います。
今回から初めての方もいるかと思いますので、そういう方や、読んでいてちょっとわからないなと思う方などは、ぜひバックナンバーを参考にしてください。
▼▼▼ 第117条(無権代理人の責任) ▼▼▼
1項
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2項
前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有していなかったときは適用しない。
■■ 解説 ■■
さて、代理権もないのに、勝手に代理人として人の車などの物を売ってしまった場合、その無権代理人は相手方に対して、履行又は損害賠償責任を負うということを前回説明しました。
ただ、相手方がこの責任を無権代理人に対して追求するためには一定の要件が必要です。
といっても難しくはありません。
当たり前に考えれば分かっていただけると思います。
その要件とは、契約をした時に、その無権代理人が代理権を有していないことについて善意・無過失であること、ということです。
簡単にいうと、契約をした時に、相手方に代理権が無いことを知っていた場合や、ちょっと調べればそれが分かったというような場合には、無権代理人に対して責任を追及することができないということです。
これは当然ですよね。
相手方に代理権がないことを知っていたんだったら「初めから契約なんてするなよ!」ということになりますよね。
■■ 豆知識 ■■
無権代理人の責任は、相手方が善意・無過失でなければ追求することができません。
また、無権代理人は取消すこともできるということ115条の所でを説明しましたよね。
ただ、取消権は善意であればよく、無過失までは必要ありません。この区別は、資格試験の問題としてよく出題されますので、覚えておいてください。
バックナンバーの115条の解説と比較して見てください。
なぜ、このような差があるのかというと、無権代理人の責任というのは無過失責任なのです。
ですから、無権代理人の責任を簡単に認めてしまうとあまりにもかわいそうなんですね。
ですから、無権代理人の責任を追及するのには少し要件が厳しくなっているのです。
反対に、取消の場合は、契約がなかったことになりますので、無権代理人にとってもそれほどかわいそうなわけではないのです。
ですから、比較的ゆるやかな要件で取消を認めているのです。
■■ 編集後記 ■■
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