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第304号 民法 第376条 (抵当権の処分)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第304号 2007・12・20
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんは。

今日は、民法376条の解説の続きです。

難しいことは抜きにして計算の方法だけを解説しますので必ずマスターしてください。

さて、私は最近、精神論にたよるのをできるだけ捨てるようにしています。

3歳の時から空手をやっていたこともあり、どうも精神論で何でも片付けようという癖があったのです。

でも、精神論に頼っていると必ずどこかで無理が出てきます。

精神論ではなく、システムを作ることが大事なのです。

例えば、勉強を継続的に続けることがどうしても苦手だという問題があったとします。

そこで、やってしまいがちなのが、モチベーションが上がる本、映画、テレビ(これを私はモチベーショングッズと呼んでいます(^0^))などを見てやる気を出して、何とか続ける。

それが切れると、また違うモチベーショングッズを探す。

これをやっていると必ず失敗します。

そこでやらなければならないことは、どういうシステムを作ればやる気を維持して、継続して勉強することができるかを考えることです。

例えば、ゲームなどであればみんな熱中してやりますよね。

それはたぶん、自分のレベルが上がったり、いい武器を買うことができたりと、自分の成長が目に見えるからなのです。

でも、勉強しても成長してるんですけど、その成長が目に見えないですよね。

だから、毎日自分がやったことを手帳に書いておいて、後で、自分はこれだけの勉強をしたんだということを目に見える形に残すということをするとか。

いろいろと考えてシステムを作ることが大事です。

ぜひ、みなさんも一度やってみてください。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

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▼▼▼ 民法 第376条 (抵当権の処分)  ▼▼▼

1項
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

2項
前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の登記の前後による。

■■ 解説 ■■

前回は、転抵当の解説をしました。

今回は、抵当権の譲渡と抵当権の放棄について解説します。

抵当権の譲渡も抵当権の放棄も、抵当権者から抵当権を持たない債権者の利益のためになされるものです。

ただ、抵当権の譲渡をすると譲渡した抵当権者は、無担保債権者になるのに対し、抵当権の放棄の場合は、抵当権者は、無担保債権者に対して優先権を失うにすぎないという点で異なります。

まぁ、こういう難しい話はとりあえず、どうでもいいです。

とにかく、試験に出るにしても、実務で使うにしても計算することができればそれでだいじょうぶですから、抵当権の譲渡の場合はどういう計算をするのか、抵当権の放棄の場合はどういう計算をするのかということを理解してください。

それでは、具体例をあげて解説します。

1000万円の土地を有するAさんがいます。

そのAさんに対して、BCDという3人の債権者がおり、BとCはAさんの土地に対して抵当権を有しています。

以下のような状態だとします。

B:1番抵当権者(600万円)

C:2番抵当権者(500万円)

D:一般債権者(300万円)

この場合に、BさんからDさんに対して抵当権の譲渡がされたとします。

そうすると、どんな関係になるのかという計算をします。

まず、最初にすべきことは、抵当権の譲渡がされる前の状態であれば、それぞれの債権者がどれだけの弁済を受けることができるのかを確定します。

すると以下のようになります。

B:600万円

C:400万円(1000万円ー600万円)

D:0円

まず、1番抵当権者であるBさんは、600万円全額を回収することができます。

次に、2番抵当権者であるCさんは、500万円の債権を有していますが、1000万円の価値のある土地からBさんが600万円取っていますから、残りの400万円しか回収することができません。

そして、抵当権を有しておらず、一般債権者であるDさんは、当然0円です。

まず、これを確定しておきます。

その後、BさんからDさんに抵当権の譲渡がされるとどうなるかというと、Bさんが有している600万円の優先弁済権の範囲で先にDさんが、優先弁済を受けることになります。

そして、それでも残りの価値があれば、Bさんが取ることになるのです。

とするとどうなるでしょうか?

B:300万円

C:400万円

D:300万円

となります。

600万円の中から、まずDが自分の債権を全額回収します。

Dは300万円の債権を有していますので、全額回収することができます。

600万円からDが300万円を持っていきますが、残り300万円あります。

その300万円をBが取ることになるのです。

これが、抵当権の譲渡です。

次に、抵当権の放棄です。

さきほどと同じ具体例で、BさんがDさんに対して抵当権の放棄をしたとします。

そうするとどのような関係になるのかを計算します。

抵当権の放棄は、Bさんが有している600万円をBさんとDさんで、被担保債権の額に応じて按分することになります。

とすると以下のようになります。

B:400万円(600万円×600万円/900万円)

C:400万円

D:200万円(600万円×300万円/900万円)

つまり、Bさんの被担保債権は600万円で、Dさんの被担保債権は300万円ですので、比例で表すとB:D=2:1です。

600万円をこの割合で分け合うことになるのです。

これが抵当権の放棄です。

抵当権の譲渡も抵当権の放棄も、それに関与していない者の優先弁済額は解りません。

さきほどの具体例でいえば、Cさんの額に変化はないですよね。

抵当権の譲渡や抵当権の放棄というのは、それをした当事者間の間でのみ効力が生じるのです。

■■ 豆知識 ■■

豆知識というより、解説のまとめをしておきます。

〜抵当権の譲渡〜

まず、抵当権の譲渡をする前に、誰がどれだけ弁済を受けることができるのか計算する。

次に、抵当権の譲渡をした者が弁済を受けられる額の範囲で、抵当権の譲渡を受けた者が取る。

それでも残りがあれば、抵当権の譲渡をした者が残りを取る。

〜抵当権の放棄〜

まず、抵当権の譲渡をする前に、誰がどれだけ弁済を受けることができるのか計算する。

次に、抵当権の譲渡をした者が受けられる額を抵当権の放棄をした当事者で被担保債権の額に応じて按分する。

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■ 編集後記 ■

少し難しかったかもしれません。

でも、一度マスターしてしまえば、それほど難しくないと思いますので、何回か自分で練習してみましょう。

次回は、抵当権の順位譲渡と抵当権の順位放棄です。

その後に、いくつか練習問題を出しますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

マーケティングの勉強などを最近しているのですが、そういう勉強をしていると、戦略を練るとか、システムを作るとかの重要性が身に染みます。

そういうことを考える癖を身につけようといろいろと考えています。

最近買った本で、すごく参考になったのがこれです。

あの世界的のトップレベルのコンサル会社マッキンゼーアンドカンパニーで活躍されていた渡辺さんが書いた本です。

内容から何からあらゆる面で「さすが!」と思わされる本です。

最近、慶応義塾の高校で選択授業になったらしいです。

簡単そうに書いてあるし、少しくらいやっているという人もいると思いますけど、ほんとに徹底的に自分の物として使いこなせるようになるには、ものすごい努力が必要だと思います。

でも、絶対にやる価値はあると思うので、何としてでも自分のものにしたいと思います。

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5 大人が読むべき問題解決の方法
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関連条文

第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)

第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)

第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)

第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)

第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)

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