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第302号 民法 第375条 (抵当権の被担保債権の範囲)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第302号 2007・12・15
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんは。

今日は、民法375条の解説です。

それほど難しい条文ではありませんが、知識としては大事ですので覚えてしまってください。

趣旨さえ理解できればすぐに覚えることができます。

話は変わりますけど、最近株式投資やFXが流行っていますよね。

私も、やっているんですけど、きちんと勉強して考えてやれば、ある程度のレベルであればほんとに儲けることができます。

ただ、きちんと勉強していることが前提です。

仕事をするにせよ、投資をするにせよ、貸借対照表や損益計算書くらいは読めるくらいの能力はやっぱり必要です。

簿記でいうと最低2級に合格できるくらいの力は欲しいですよね。

別に、会計の専門家になるわけじゃないから、簿記に合格する必要はないんですよ。

ただ、それくらいの力は勉強してつけておきたいということです。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

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▼▼▼ 民法 第375条 (抵当権の被担保債権の範囲)  ▼▼▼

1項
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時から抵当権を行使することを妨げない。

2項
前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

■■ 解説 ■■

民法375条は、タイトルどおり、抵当権の被担保債権の範囲について規定した条文です。

抵当権は、特定の債権を担保するものであり、その特定債権から発生した利息についても、当然に担保されるのが原則です。

しかし、それを無制限に認めてしまうと、利息が積もり積もってとんでもない額に膨れ上がってしまい後順位抵当権者を害する危険があるのです。

そこで、利息などについては、競売を開始したときから遡って2年分しか担保されないと規定したのです。

これだけでは、分かりにくいと思うので、いつものように具体例をあげて解説します。

例えば、Bさんが、Aさんに300万円の債権を有しており、その債権を担保するために、Aさんの500万円の価値がある土地に抵当権を設定していたとします。

そして、その土地には、さらにCさんが100万円の債権を担保するために抵当権を設定していたとします。

つまり、500万円のAさんの土地に、1番抵当権者のBが300万円の債権を担保するために抵当権を設定し、2番抵当権者であるCさんが100万円の債権を担保するために抵当権を設定しているという状態です。

この時、2番抵当権者であるCさんは、抵当権を設定する時点で、1番抵当権者であるBさんが300万円を取っていくから、残りの200万円については、自分が取ることができると考えていたわけです。

200万円の価値が残存していて、100万円を貸すわけですから、万が一返済が滞っても抵当権を実行すれば、回収できるであろうと考えていたわけです。

しかし、1番抵当権者であるBさんのAさんに対する債権の利息が積もりに積もって、Bさんの被担保債権の額が、500万円になっていたとします。

とすると、1番抵当権者であるBさんが500万円を持っていくことになりますので、2番抵当権者であるCさんの取り分はなくなってしまうわけです。

Cさんは、債権を回収することができなくなってしまうのです。

Cさんは、きちんと回収できると思って金を貸したのに、いざ抵当権を実行してみると、自分の取り分は全くなかったということになってしまうわけです。

これでは、Cさんがあまりにもかわいそうですよね。

このように、後順位抵当権者が不測の不利益を受けるようなことが頻繁に起これば、誰も怖くて金を貸さないことになってしまい、最悪は、日本の経済が停滞してしまいます。

そこで、利息などについては2年分という範囲に限定したわけです。

この民法375条があることによって、後順位抵当権者は、自分が抵当権を設定する際に、先順位抵当権者がどれだけ持っていくかというのが計算できるのです。

被担保債権と2年分の利息ですから、大体計算できますよね。

その額を、土地の価値から引けば、その土地の残りの価値が把握できます。

それによって、自分は安心して金を貸すことができ、不測の不利益を受けることがなくなるわけです。

それから、1項には但し書きがあります。

利息に関する特別の登記というものをすることができ、その登記をした場合には、その分については、2年分を超える分についても優先的に弁済を受けることができます。

これはさきほどの理由から考えればわかりますよね。

なぜ、2年分に限定したかというと、後順位抵当権者が不測の不利益を受けることを防ぐためです。

つまり、自分の知らないところで利息が積もり積もって、先順位抵当権者の被担保債権の額が膨れ上がっている可能性があるからです。

いくらの利息が発生しているかなんて、正確にはわからないですよね。

でも、その額が登記してあればどうでしょう?

登記がしてあれば、登記を見れば、先順位抵当権者がどれだけ先に持っていくかが分かりますよね。

とすれば、それを計算しておけば不測の不利益を受けることはないわけです。

だから、登記をしておけば、2年分を超える分についても優先弁済を受けることができるのです。

さらに、もう一つ付け加えておきます。

抵当権は、担保物権の一つです。

担保物権といえば、以前に勉強した質権がありますよね。

質権の被担保債権の範囲はどうだったでしょうか?346条の解説と比較してください。

346条のバックナンバー

そうですよね。質権の被担保債権の範囲は、抵当権のように利息については2年分というような制限がされていませんでした。

その理由はなぜでしょうか?

346条のバックナンバーに書いてあるので確認しておいてください。

■■ 豆知識 ■■

今日の豆知識は、さきほど解説した375条の趣旨から考えると覚えやすいです。

375条の趣旨は、後順位抵当権者に不測の不利益を与えることを防止することです。

とすると、債務者や抵当権設定者については、375条の適用がありません。

債務者や抵当権設定者というのは、本来全額弁済しなければならない立場にあるのですから、2年分という範囲に限定されないのです

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■ 編集後記 ■

少し解説が長くなりましたが、趣旨からしっかりと解説したので、理解していただけたと思います。

理解していれば、記憶するのも楽です。

もし、仮に忘れてしまっても、趣旨から考えれば、その場で思い出すことができますし。

とにかく、条文の趣旨から考えるくせをつけておきましょう。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

私事ですが、新たに会社を設立することになりました。

会社を設立するためだけに金をかけたくないので、安上がりな合同会社を設立しようと思います。

合同会社って聞きなれない名前だと思いますが、最近改正された会社法で、新しく認められた会社の一つです。

関連条文

第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)

第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)

第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)

第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)

第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)

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