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第301号 民法 第374条 (抵当権の順位の変更)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第301号 2007・12・14
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■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。

今日は、民法374条の解説です。

抵当権の順位についての原則を前回解説しましたが、その順位を変更することができるということを規定している条文です。

司法書士試験においては、非常に重要な条文ですので、理解してください。

さて、こつこつ英語の勉強をしているのですが、少しずつニューヨークタイムスとかがなんとなく読めるようになってきました。

英語がそこそこ読めるようになってくると、ほんとに世界が広がってくるのがわかります。

日本語を使う人口なんてたかが1億3000万人です。

英語を使いこなせるようになれば、その数が一桁変わります。

これからますますグローバル化が進行して、国境の境というのが無くなってきます。

最低限の英語力だけはつけておきたいと思います。

それでは、さっそくはじめていきましょう。

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▼▼▼ 民法 第374条 (抵当権の順位の変更)  ▼▼▼

1項
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

2項
前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ効力を生じない。

■■ 解説 ■■

この条文は民法の中でも特殊な条文ですので、しっかりと理解しておきましょう。

まず、抵当権の順位変更の要件を確認しておきます。

1、順位変更する抵当権者全員の合意があること

2、利害関係人の承諾があること

3、順位変更の登記をすること

以上の3つが、抵当権の順位変更の要件です。

具体例をあげて説明しますので、自分でさきほどの要件と照らし合わせながら読んでくださいね。

例えば、Aさんが1000万円の価値を有する土地を持っていたとします。

その土地に対してBさんからEさんまでが抵当権を設定していたとします。

被担保債権の額は以下のとおりとします。

1番抵当権者のBさんが500万円

2番抵当権者のCさんが300万円

3番抵当権者のDさんが300万円

4番抵当権者のEさんが200万円

この場合、もし抵当権が実行された場合、それぞれどのような取分になるかを計算しておきます。

土地の価値は1000万円です。

1番抵当権者のBさんは、500万円全額取ることができます。

2番抵当権者のCさんも、300万円全額を取ることができます。

3番抵当権者のDさんは、300万円の被担保債権を有していますが、土地の価値が200万円しか残っていないので(1000万−500万−300万=200万)、200万円しか取り分がありません。

そして、4番抵当権者のEさんは、当然取り分はありません。

このときに、BCDEさん全員で順番をE→D→C→Bに変更させることができるのです。

これが順位の変更です。

順番を変更させると取り分はどうなるでしょうか?

1番抵当権者のEさんが、200万円。

2番抵当権者のDさんが、300万円。

3番抵当権者のCさんが、300万円。

4番抵当権者のBさんが、200万円。

ということになります。

このように、順位変更によって取り分に影響がある者全員が同意すれば事後的に抵当権の順位を変更することができるのです。

ただ、注意しなければいけない点があります。

最初に書いた要件を思い出して欲しいのですが、注意すべき点が2点あります。

一点目は、抵当権の順位変更は登記をしなければ効力が生じないのです。

民法の原則からすれば、登記というのは第三者に対する対抗要件にすぎません(177条)。

つまり、登記をしなくても効力は発生しているのです。ただ、第三者に対抗できないだけなのです。

しかし、抵当権の順位変更は、登記をしなければ、そもそも効力が発生しないのです。

これは、司法書士試験などでは、ほんとによく出題されていますので、注意してください。

もう一点は、利害関係人の承諾がなければ、効力を生じないということです。

わかりにくいと思うのでさきほどの具体例で解説します。

例えば、さきほどの具体例で、一番抵当権者であるBさんは、順位変更をする前は、500万円の取り分があったわけです。

その一番抵当権にXさんがさらに転抵当権を設定していたとします。

転抵当とうのは、まだ解説していないのですが、簡単にいうと抵当権の上にさらに抵当権を設定することができるのです。

つまり、Xさんは、一番抵当権者であるBさんの取り分である500万円について取り分を有しているのです。

しかし、自分の知らないところで勝手に順位変更されてしまって、Bさんが4番抵当権者になってしまえば、取り分が200万円になってしまいます。

これでは、Xさんにとってあまりにも不利益ですよね。

ですから、このような利害関係人の承諾を得ておかなければ、順位変更をすることができないのです。

■■ 豆知識 ■■

この条文は、司法書士試験ではトリプルAランクの条文です。

特に、順位変更の要件と利害関係人にあたる人がどういう人なのかということは頻出です。

利害関係人にあたる人というのは、簡単にいうと順位変更によって不利益を受ける人です。

ほんとに注意しましょうね。

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■ 編集後記 ■

ベストセラーになったウェブ進化論の作者である梅田さんが、新しい本を出されました。

グーグルやマイクロソフトの本拠地であるシリコンバレーでITが世界にどれだけの変化をもたらしているのか肌で感じている梅田さんの新書です。

ITによる時代の変化で、これから私たちがどのように生きていけばいいのかということを考えさせられる1冊です。

その中で書いてあったのが、これからの時代を生きていく上で必要になってくるであろうスキルにWebに関するスキル(WebデザインやWebプログラミングなど)と語学能力というのがあげられていました。

私も全く同感です。これから、とてつもないスピードで時代の変化が訪れると思います。

日々の生活に追われて、先を見るのは難しいかもしれませんが、10年、20年、30年後を見据えて、今、行動することが大事ですよね。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

昨日、京都にある国会図書館の関西館に行ってきました。

施設も環境も立派だし、調べることができる情報量も半端じゃないです。

すっごくいい所を見つけました。

時々、調べものをしたり、勉強したりする時に使わせてもらおうと思います。

関連条文

第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)

第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)

第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)

第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)

第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)

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