第300号 民法 第373条 (抵当権の順位)
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第300号 2007・12・2
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■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。
日曜日ですが、朝から原稿を書いています。
というか、寝ていません。
まぁ、そんなことはいいとして、今日は、民法373条の解説です。
この373条からは、抵当権の中の第2節抵当権の効力に入ります。
つまり、これから見ていく条文は、抵当権が成立した場合、どのような効力が認められるのかを規定しています。
それを意識して一つ一つの条文を見ていきましょう。
法律の勉強をするために必要なことは、とにかく深く考えることです。
大体のことを理解するのは、ある程度勉強が進むとできるようになってきます。
そこから、さらに深く徹底的に考えることが大事です。
この深く徹底的に考えるというのは、法律の勉強に限らずビジネスをする上でも非常に重要なことです。
トヨタといえば、超優良企業の一つですが、「なぜ?」を5回繰り返すことが推奨されています。
例えば、売り上げが伸びない理由を考えるとき。
1回目
なぜ売り上げが伸びないのか?
A.営業がうまくいかなかったから
2回目
なぜ営業がうまくいかなかったのか?
A。商品が顧客のニーズに合致していなかったから
3回目
なぜ商品が顧客のニーズに合致していなかったのか?
A.営業が顧客のニーズを正しく聞き出せなかったから
4回目
なぜ営業は顧客のニーズを正しく聞き出せなかったのか?
A.正しい担当者を訪問できていなかったから
5回目
なぜ正しい担当者を訪問できていなかったのか?
A.顧客の意思決定権限部署が変わっていたから
ここまで深く考えると、売り上げが伸びない本質的な原因は、「顧客の意思決定権限部署が変わっていたから」ということに気づきます。
とすると、対応策としては、顧客の意思決定権限部署を正しく把握できるようなシステムを作ることになるはずです。
この対応策を取ってはじめて売り上げが伸びないという原因を改善できるわけです。
ここまで深く考えずに、短絡的に1回目の「なぜ?」でやめてしまうと、営業を強化すべきだという対応策を取ることになってしまい、本質的な原因を解決することができず、結果が出ないということになってしまいます。
このように、少しテーマはずれてしまいますが、とにかく深く考えるということは、何をするにしても大事なのです。
それから、もう一つ法律の勉強をするために必要なことがあります。
それは、大量の文書をできる限り早く読むことです。
情報化社会においては、情報はほぼ無限にあります。
できる限り、多くの文書を読んで情報を頭に入れて、その中から問題点や本質を見つけ出す能力が必要です。
できるだけ多くの文書を早く読み、しかも、徹底的に深く考えることを習慣付けましょう。
そのために速読はおすすめです。
それでは、前置きが長くなりましたが、さっそく始めていきましょう。
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▼▼▼ 民法 第373条 (抵当権の順位) ▼▼▼
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
■■ 解説 ■■
この民法373条は、非常に重要な条文です。
ただ、一度理解してしまえば、それほど難しくはないので、完全に理解しておいてください。
例えば、Aさんが所有している1000万円の価値がある土地に対して、Bさんが1番抵当権、Cさんが2番抵当権、Dさんが3番抵当権を設定していたとします。
そして、それぞれの被担保債権の額は以下のとおりとします。
B:500万円
C:300万円
D:300万円
Aさんが所有している土地に対して、B、C、Dさんが抵当権を設定しており、一つの土地に対して3重に抵当権が設定されているという状態です。
このように抵当権は、重ねて設定することができるのです。
そして、抵当権が実行されて、競売された場合、競売代金から優先弁済をうけることができる順番は抵当権の前後によって決まります。
これを規定しているのが373条です。
さきほどの具体例でいえば、土地は1000万円で競売されます。
その1000万円から、まず、1番抵当権者であるBさんが、500万円の弁済を受けます。
次に、2番抵当権者であるCさんが300万円の弁済を受けます。
最後にDさんが弁済を受けることができるのですが、300万円全額の弁済を受けることはできませんよね。
なぜなら、1000万円から、Bさんが500万円、Cさんが300万円を取っているので残りは200万円しかありません。
つまり、Dさんは、Aさんに対して300万円の債権を有していますが、200万円についてしか優先弁済を受けることができないのです。
このように、抵当権というのは早く登記をした者が勝つのです。
要するに早い者勝ちです。
ミナミの帝王などでよく金を貸すときに登記を調べていますよね。
あれは、抵当権が設定されていないかどうかを調べているのです。
金を借りに来た人が1000万円の土地を持っていたとしても、すでにさきほどのように先に抵当権を設定している人がたくさんいれば、抵当権を設定して金を貸したとしても回収することができないのです。
だから、金を貸すときに登記を調べに行くのです。
理解すればそれほど難しくなないですよね。
■■ 豆知識 ■■
少し難しいのですが、さきほどの具体例で、AさんがBさんの債務を弁済したとします。
すると、当然にBさんの1番抵当権は消滅して、Cさんが1番抵当権者、Dさんが2番抵当権者というように後順位抵当権者の順位が上昇します。
これは、抵当権には、担保物権の通有性である付従性があるからです。
被担保債権が消滅すると当然に抵当権も消滅するのです。
消滅における付従性ですね。
そして、これは登記が抹消されるかどうかに関係なく抵当権は消滅します。
たとえ、1番抵当権の登記が抹消されていなくても、抵当権は消滅するのです。
なぜだかわかりますよね?
抵当権における登記は、成立要件ではなく対抗要件にすぎないからです。
177条で解説していますので、わからない方はバックナンバーの177条を参考にしておいてください。
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■ 編集後記 ■
今日は、前置きが長くなりましたが、大事なことですので書かせていただきました。
法律の勉強に限らず、大量の文書を早く読む能力と徹底的に考える能力があれば、何をやっても結果を出すことができると思います。
私が尊敬する起業家の一人、ソフトバンクの社長である孫さんの言葉で非常に印象に残っている言葉があります。
「脳みそがちぎれるほど考えて、全力投球すれば、不可能なことというのはそれほど多くない」
「脳みそがちぎれるほど考えなければ意味がない。脳みそ筋肉マンになれ。」
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
私も、孫さんのように頭がちぎれるくらい考えることを習慣づけたいと思います。
脳みそは使えば、使うほど、柔軟で強くなるそうです。
単に考えるのではなく徹底的に考えることが大事なんでしょう。
頭がちぎれるくらい考えるというのは、いい表現だと思います。
ちなみに、伊藤塾の塾長である伊藤真先生は、頭から湯気が出るくらい考えろ!と言っていました。
関連条文
・第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)
・第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)
・第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)
・第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)
・第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)
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