第298号 民法 第371条
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第298号 2007・11・17
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんは。
今日は、民法371条の解説です。
民法371条は、2003年に改正された条文で、非常に複雑な問題があります。
あまり深く考えると難しいので、とりあえず、おおまかな内容だけ解説したいと思います。
資格試験などでも、結論さえ知っておけば、だいじょうぶです。
深い部分では、まだ学説も確立されていないみたいなので、全く気にする必要はありません。
それでは、さっそく始めていきましょう。
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▼▼▼ 民法 第371条 ▼▼▼
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
■■ 解説 ■■
民法371条は、抵当権の効力が抵当不動産の果実に及ぶ場合について規定している条文です。
果実という言葉の意味がわからない方は、バックナンバーで確認しておいてください。
果実というのは、天然果実と法定果実があります。
ここでいう果実というのは、その両方の意味を含みます。
わかりやすく説明するために、具体例をあげます。
Aさんが、Bさんに対して1000万円の債権を有しており、それを担保するために、Bさんの土地に対して、抵当権を設定しました。
その後、Bさんは、その土地をCさんに対して月20万円で、賃貸しました。
この場合、Bさんは、土地の賃料として毎月20万円の収入を得ることができます。
この月20万円というのは、土地の法定果実です。
そして、果実というのは、不動産の付加一体物と考えられています。
とすると、前回の370条で解説したように、果実にも抵当権の効力が及ぶはずです。
しかし、371条は、原則として、果実には抵当権が及ばないと規定しているのです。
なぜでしょうか?
そもそも、抵当権というのは、抵当権の目的である土地などを、設定者に使用・収益させつつ、債権を担保する物権です。
にもかかわらず、賃料などの果実を得た瞬間、それを抵当権者に取り上げられてしまえば、抵当権を設定した意味がありませんよね。
自分の土地を自由に使いつつ、金を借りることができるというのが、抵当権のうまみなわけです。
だから、371条は、原則として果実には抵当権の効力が及ばないと規定しているのです。
しかし、債務不履行があった場合は別です。
債務不履行があった場合、抵当権者は、抵当権を実行して、債権の回収をすることができます。
抵当権の目的物である土地などを差押えて、競売にかけることができます。
また、いきなり差押えて、競売にかけるのではなく、賃料を少しずつ債権の弁済にあてていくという方法もあります。
ですから、債務不履行があったとき以降は、果実にも抵当権の効力が及ぶと規定されているのです。
この371条は、民事執行法の改正や担保不動産収益執行手続きとも関連していますので、ほんとに難しいです。
とにかく、結論だけ覚えておいてください。
抵当権の効力は、果実に対しては、債務不履行があった以降のみ及ぶということです。
■■ 豆知識 ■■
最近、民法の勉強を始めた方には関係のない話ですが、この条文は、2003年に改正されています。
改正前は、371条の「果実」に法定果実は含みませんでした。
かなり内容が変わっていますので、注意してください。
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■ 編集後記 ■
少し、難しかったと思いますので、理解できなくても気にしないでください。
とにかく、この条文は、結論だけおさえておけば、資格試験でも問題ありません。
メリハリをつけて勉強しましょうね。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
バイオテクノロジー関連の会社で、いい銘柄を見つければ、いずれ化けるかもしれません。
バイオ関連の銘柄の調べてみようと思います。
関連条文
・第333号 第400条 (特定物の引渡しの場合の注意義務)(20092626)
・第332号 第399条 (債権の目的)(20092626)
・第329号 民法 第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)(20091111)
・第328号 民法 第397条(低動不動産の時効取得による抵当権の消滅)(20091111)
・第326号 民法 第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)(20081313)
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