第272号 民法 第345条 (質権設定者による代理占有の禁止)
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第272号 2007・7・17
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■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は、民法345条の解説です。
民法345条は、知識としても重要ですし、趣旨から考えるという意味でも重要な条文です。
前回は、資格受験生のコミュニティサイトについての紹介をさせていただきました。
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▼▼▼ 民法 第345条 (質権設定者による代理占有の禁止) ▼▼▼
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
■■ 解説 ■■
この民法345条は、前回の344条で解説した質権の要物契約性と関連します。
例えば、みなさんに急にコンパの約束が入ったとします。
でも、給料日前で、参加する金がなかったとします。
そこで、みなさんは、自分のロレックスの時計を質入して、金を調達することにしました。
質屋に行って、ロレックスの時計を質入して、5万円の金を借りることができました。
この時に、ロレックスの時計を質屋さんに引き渡さなければなりません。
質屋さんが、「時計は自分で持っていてもいいよ」と言ったとしても、それは許されません。
質権を設定するためには、質権の目的となっている物を質権設定者に占有させることはできないのです。
(さきほどの例で言うと、質屋さんが質権者で、みなさんが質権設定者と言います。言い方は覚えてしまってください。)
しかし、今解説したことは、前回の344条の内容と同じですよね。
つまり、契約時に、ロレックスの時計を質屋さんに引き渡さなければ、そもそも質権は成立しないのです。
344条が、質権の要物契約性を規定しているからです。
忘れた方は、バックナンバーで確認しておいてください。
では、なぜ、344条があるにも関わらず、345条のような条文があるのでしょうか?
この点について、344条は、質権設定契約の成立時点の問題で、345条は、質権設定契約が成立した後の問題だと考えられています。
どういうことかというと、さきほどの具体例で説明すると、質権設定契約の時点で、ロレックスの時計をを質屋さんに引き渡さなければ、344条の要物契約性に反するので質権が成立しないのは争いがありません。
では、質権設定契約成立後に、質屋さんが、みなさんにロレックスの時計を返還した場合はどうなるのかというのが345条の問題なのです。
345条を素直に読めば、質屋さんがみなさんにロレックスの時計を返還すれば、質権も消滅すると考えるのが自然ですよね。
「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」と規定してあるわけですから。
また、質権の留置的効力という趣旨から考えても、ロレックスを返してしまえば、もはや「物を返して欲しければ金を返せ!」という心理的圧迫を加えることができなくなります。
しかし、判例や多数の学説は、質権は消滅せず対抗力を失うだけだと考えています。
判例や学説の多数がそう言っているので、それに従わざるを得ませんが、趣旨や条文から素直に考えるとちょっと違和感があります。
いずれにせよ、判例・多数説の結論で覚えておいてください。
ただ、質権の効力が消滅するという説も有力に主張されています。
■■ 豆知識 ■■
今日の豆知識は、まだ解説していないので、飛ばしていただいてもかまいません。
さきほどの解説は、動産質に関してのみ妥当します。
不動産質権の場合の第三者への対抗力は、占有ではなく登記だからです。
また、後々解説しますが、質権には、動産質権、不動産質権、債権質の3種類があります。
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■ 編集後記 ■
この345条は、判例・多数説の立場に立てば、あまり意味のない条文ということになってしまいます。
344条とほとんど同じことを規定しているにすぎないとも言えるからです。
345条のように、条文や趣旨から考えて自然に出てくる結論とは異なる結論を判例が採用していることは時々あります。
こういう条文は意識的に覚えるようにしてください。
法律系の資格試験にもよく出題されます。
対抗力については、177条の部分で解説していますので、わからないという方はバックナンバーで確認しておいてください。
それでは、次回もお楽しみに!!
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管理人レイ
なお、配信解除希望とのメールをいただくことがあるのですが当方では応じることがで
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(裏編集後記)
さきほど、資格のコミュニティサイトを紹介しましたが、これは何としてでも成功させたいと思っております。
私自身、孤独に勉強していた時期があり、ほんとにつらかったのです。
今は、ある程度環境に恵まれていますが、孤独で勉強を続けるというのは、かなり厳しいものがあります。
それを少しでも和らげるために、オンライン上ではありますが、人とコミュニケーションを取る場所として使っていただきたいと思います。
孤独を感じたことがないという方にはわからないかもしれませんが、ほんとに孤独というのはつらいです。
今は、環境に恵まれていたとしても、いつ孤独がやってくるかわかりません。
今の環境に甘えるのではなく、常に人と人とのつながりを大切にする気持ちを持っておきたいものです。
関連条文
・第277号 民法 第350条 (留置権及び先取特権の規定の準用)(20072828)
・第276号 民法 第349条 (契約による質物の処分の禁止)(20072828)
・第274号 民法 第347条 (質物の留置)(20072828)
・第273号 民法 第346条 (質権の被担保債権の範囲)(20072828)
・第269号 民法 第343条 (質権の目的)(20071818)
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