第257号 民法 第329条 (一般の先取特権の順位)
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第257号 2007・5・10
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんは。
今日は、民法329条の解説をしたいと思います。
それでは、さっそくはじめていきましょう。
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▼▼▼ 民法 第329条 (一般の先取特権の順位) ▼▼▼
1項
一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第306条各号に掲げる順序に従う。
2項
一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
■■ 解説 ■■
この329条は、特に1項が重要です。2項に関してはよくわかりません。
2項について詳しく解説してある本がなかったんですよ。
しかも、いろんな法律系の試験を調べてみたけど、出題されたことはたぶんありません。
要するに、あまりにも細かい条文だし、重要性も低いのです。
ですから、2項に関しては読むだけ読んでそれでいいと思います。
さて、1項の解説です。
1項は、一般の先取特権の順位について規定しています。
一般の先取特権には4種類ありましたよね。
忘れた方はこちら → >>一般の先取特権のバックナンバー
一般先取特権の4種類は覚えてくださいね。バックナンバー語呂合わせも紹介してあるので覚えられるはずです。
つまり、一般の先取特権といっても、4種類あるわけです。
ということは、その4つの先取特権が複数成立して、競合する可能性も当然あるわけです。
その場合の順位はどうなるのかということを規定している条文です。
まず、確認しておかないといけないのは、物権法の原則からすれば、成立した順番に優先的効力を受けることができるということです。
先に成立した順番というのが、物権法の大原則です。
抵当権で考えれば、わかりやすいです。
抵当権は、登記されます。
よく「ミナミの帝王」や「ナニワ金融道」などで、金を貸す時に、登記簿で抵当権が登記されているか確認している場面が出てきます。
で、自分たちより先に複数の抵当権が登記されている場合には、自分たちはその土地や家から弁済を受けることはできないことになるわけです。
たとえば、1000万円の価値のある土地に対して、
1番抵当権:500万円
2番抵当権:300万円
3番抵当権:500万円
と、登記簿に記載されている場合、4番に抵当権を入れたとしても、もう土地の価値を超えているのでほとんど意味はありません。
こういうように、物権法では先に成立したものが優先するというのが大原則なのです。
しかし、先取特権は、その原則が修正されているのです。
なぜなら、先取特権は、それぞれ特殊な理由に基づいて特定の債権を優先的に保護する法定担保物権だからです。
そして、その順位は306条の順番になります。
306条を見ると、
1、共益の費用
2、雇用関係
3、葬式の費用
4、日用品の費用
となっております。
つまり、先取特権の場合、成立した順番に関係なく、この順番で優先的に弁済を受けることができることになります。
まずは、成立した順番に弁済を受けることができるのが、物権法の大原則であるということを理解してください。
ただ、先取特権というのは、いろいろな政策的な理由で、特別に法律が成立を認めているものなので、その原則が修正されているのです。
■■ 豆知識 ■■
今日も、豆知識は特にありませんが、先取特権の趣旨が何だったのかということをバックナンバーで理解しておいてください。
成立した順番に優先して弁済を受けることができるという大原則が、なぜ先取特権の場合には修正されているのかということが、先取特権の趣旨が理解できれば、わかるはずです。
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■ 編集後記 ■
さて、どうだったでしょうか?
少し難しく感じられた方もいるかもしれません。久しぶりにしっかりと解説しておいた方がいい条文が出てきたので、原則論から解説しました。
この原則論を必ず確認するというのが、法律の勉強をするのに非常に重要なのです。
原則論を確認せずに、例外に飛びついてしまうと必ず頭が混乱してしまいます。
また、わからない問題が出てきたとしても、原則論が分かっていれば、原則どおり考えれば何とか答えは出せるわけですから。
まずは、とにかく原則論です。
ただ、その原則論を貫くと不都合が生じてしまうので、修正する必要がある場合に限り例外が認められるわけです。
この原則→例外パターンで考えるくせをつけてください。
これを意識して勉強をしていると必ず法律の実力が付きますし、論理力もアップします。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
以前にも、伊藤真先生の「夢をかなえる勉強法」という本を紹介しました。
ほんとにいい本です。
なぜ、人は勉強する必要があるのかをテーマに、伊藤真先生は勉強をするのは自分の夢をかなえるためだからだと言っています。
別に、大学受験をするからとか、資格を取るからとか、そんなためだけに勉強しなければならないわけじゃないんです。
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人生を如何に生きるか
関連条文
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