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第245号 民法 第306条 (一般の先取特権)

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第245号 2007・2・17
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんは。

今日は、民法306条の解説です。

民法306条は、一般の先取特権と言われている条文です。

それから、ある読者の方から民法298条3項についての質問がありましたので、ここでお答えさせていただきます。

民法298条3項は、留置権消滅請求についての規定で、留置権消滅請求をすることができるのは条文では「債務者」となっております。

ただ、私は、解説で留置権消滅請求ができるのは、債務者ではなく物の所有者であると解説しました。

それでは、おかしいのではないか?というご質問でした。

いろいろと調べてみたのですが、留置権が成立する場合、通常の場合は、債務者と物の所有者というのは一致します。

ですから、条文は、「債務者」と規定しているのだろうと思います。

ただ、事例によっては、債務者と物の所有者が異なる場合があります。前回、出題したような問題のような事例の場合です。

あのように、債務者と物の所有者が異なる場合には、留置権消滅請求ができるのは、物の所有者になります。

理由は、以前にも解説したように留置権消滅請求の趣旨ですよね。

つまり、民法298条3項は、債務者と物の所有者が同一の場合に限りそのまま適用されるのだと解釈するようです。

これは、私の見解ではなくSシリーズや双書に解説したあったことなので間違いないと思います。

今のことが何のことかわからないという方は、別に気にしなくても大丈夫です。ただ、質問を下さった方と同じような疑問を持っておられた方は、バックナンバーを参考にしながら確認しておいてください。

ご質問をいただいた方、自分でも調べるいい機会になりました。ありがとうございました。

さて、前置きが長くなりましたが、勉強を続けていくために一番大事なことは気持ちです。

高いレベルでやる気を維持して努力を続けるというのはほんとに大変です。

あのヤンキースのゴジラ松井が、「一番の才能は努力し続けることができること」と言っていますが、「さすがだなぁ!」と感心すると同時に、全く同感であると思います。

結局は、能力よりもやる気をどれだけ維持し続けることができるかが大事なんですよね。

それでは、はじめて行きましょう!

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▼▼▼ 民法 第306条  (一般の先取特権) ▼▼▼

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

1、共益の費用
2、雇用関係
3、葬式の費用
4、日用品の供給

■■ 解説 ■■

さて、先取特権の解説に入っております。

先取特権と言っても、3種類あります。

一つ目が、この一般先取特権、二つ目が、動産の先取特権、三つ目が不動産の先取特権です。

まずは、一般の先取特権です。

一般の先取特権は、債務者の総財産の上に成立します。つまり、先取特権を有する者は債務者の全ての財産に対してかかっていくことができるということです。

これは、強い権利ですよね。

そして、一般先取特権には、4つのパターンがあり、1号から4号で規定されています。

おそらく、少し考えれば、それぞれの趣旨が分かると思います。

解説を読む前に、一度自分で、なぜこのような場合に先取特権が認められているのか、その趣旨を考えてみてください。

まず、共益の費用ですが、これはまだ解説していない詐害行為取消権の費用などがあたります。

これは、まだ解説していないので、その部分を解説してからもどってきましょう。

詐害行為取消権は、民法424条で出てきます。債権者取消権ともいいます。

次に、雇用関係です。

これは、従業員の給料は、直ちに生活費にあてられることから、優先的に弁済を受けられるようにすべきとの社会政策的要請に基づくものです。

雇用関係にある、従業員の方の6ヶ月分の給料については、先取特権で優先的に弁済を受けることができるということです。

会社にお勤めの方は、想像することができますよね。

自分の会社が潰れた場合、給料をもらうことができなければ、どれだけ困るかを想像してみてください。

最後に、葬式の費用日用品の供給費用です。

日用品の供給費用というのは、電気代やガス代がわかりやすいと思います。

これらは、資力の乏しい人が、葬式をできるように、また、きちんとした生活ができるように認められている政策的な規定です。

つまり、ガス会社などは優先的に弁済を受けることができるわけですから、あまり資力のない人に対しても、安心してガスなどを提供することができます。

それによって、資力のない人もきちんとした生活ができるというわけです。

もし、先取特権が認められていないと、ガス会社などは、資金に余裕のない人にガスを提供すると債権を回収することができなくなる可能性があります。

とすると、ガス会社などは、資金の乏しい人には、ガスを提供しなくなります。

これでは、きちんとした生活を送ることができず困りますよね。

2号と、3,4号では、保護すべき対象が反対になっているということに気づきましたでしょうか?

一度考えてみてください。

■■ 豆知識 ■■

この一般の先取特権は、法律系の資格試験によく出題されますので、4つ全部覚えてしまってください。

覚えやすい語呂合わせを紹介しておきます。

今日こそは日曜日。

きょう  こ  そ は にちようび
  ↓   ↓  ↓    ↓
共益   雇用 葬式  日用品の費用

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■ 編集後記 ■

先取特権は、よくわからないことが多いと思いますが、趣旨や本質を理解すれば、意外に納得できることが多いと思います。

このメルマガでは、単に知識を紹介するだけでなく、理解中心で解説していますので、難しく感じるかもしれませんが、考える癖をつけるのにはいいかと思います。

単に、書いてあることを読むというのは、楽です。

でも、自分で主体的に考えるというのは、ほんとに大変です。

がんばりましょう!!

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(裏編集後記)

最近、酒がほんとに弱くなりました。

昔は、毎日のように飲んでいたので、ちょっとくらい飲んでも大丈夫だったのですけど、最近はめったに酒を飲まないので、たまに飲み会みたいな時にちょっとでも飲むと次の日までしんどいです。

これからは、飲み会に行っても酒は飲まないようにしようと思います。

別に酒は、好きじゃないので、どちらかというと飲みたくないんですよね。

ただ、付き合いで、ちょっとくらいは飲まないといけないことがあるので。

関連条文

第277号 民法 第350条  (留置権及び先取特権の規定の準用)(20072828)

第276号 民法 第349条  (契約による質物の処分の禁止)(20072828)

第274号 民法 第347条  (質物の留置)(20072828)

第273号 民法 第346条  (質権の被担保債権の範囲)(20072828)

第269号 民法 第343条  (質権の目的)(20071818)

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