第242号 民法 第304条 (物上代位)
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第242号 2007・2・8
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんは。
今日は、民法304条の解説です。
前回から、先取特権の解説に入っています。
そして、今日の民法304条は、かなり重い論点がある条文です。
そもそも、304条がなぜ認められているのかということからして、争いがあります。
ただ、深入りすると先に進めなくなるので、とりあえず最低限のことだけ解説して先に進もうと思います。
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▼▼▼ 民法 第304条 (物上代位) ▼▼▼
1項
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭
その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払い渡し又は引渡しの時に差し押さえをしなければならない。
2項
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
■■ 解説 ■■
さて、どうでしょうか?
タイトルが物上代位という難しい名前です。
そして、タイトルのとおり内容も本当に難しい条文です。
さきほども言いましたが深入りすると、ほんとに先に進めないので、これも本質だけをしっかりと理解していただければそれで十分かと思います。
先取特権は、法定担保物権です。つまり、担保物権の一つです。
担保物権というのは、債権者が債権を確実に回収できるように、債務者等の物の交換価値を把握することができる権利です。
たとえば、債務者乙さんの車(価値は100万円)に対して、債権者甲さんの先取特権が成立しているとします。
この場合、債権者である甲さんは、乙さんの車の価値である100万円の価値を把握しているということになります。
その後、乙さんは、車を丙さんに100万円で売却したとします。
すると、甲さんは、車に対して先取特権を行使することができなくなるのです。
これは、あまりにも甲さんにとってはかわいそうですよね。
そこで、甲さんは、乙さんが売却することによって受け取った100万円について先取特権を行使することができるのです。
これが、民法304条の物上代位といわれているものです。
担保物権の目的物が、「売却、賃貸、滅失、毀損」すると先取特権も消滅しますが、それでは債権者が害されるので、304条によって特に物上代位を認めているのです。
この304条は、他の担保物権でも準用されており、他の担保物権も物上代位が認められています。
担保物権というのは、物の交換価値を把握しているのですから、同じように趣旨が妥当するからです。
ただ、一点注意しないといけないことがあります。
それは、留置権には物上代位が認められないということです。
なぜなら、留置権というのは、物を留置して債務の弁済を促すことに本質があり、物の交換価値を把握しているわけではないからです。
この知識は、とても大事な知識ですが、よく忘れてしまう人が多いです。
法律系の資格試験にもよく出題されますが、留置権の本質と先取特権の本質を理解していれば、留置権には物上代位が認められないということはわかるはすです。
単に覚えるのではなく、理解して覚えれば忘れることはありません。
■■ 豆知識 ■■
さきほどの解説は、判例の立場である特権説という立場からの説明です。
他にも有力説として価値権説というものがあります。
条文を読めばわかると思いますが、物上代位するためには、差し押さえが必要です。
この差し押さえの時期が、特権説と価値権説で異なってくるのです。
このあたりまで突っ込むとほんとに難しいので、気にしなくてもいいと思います。
ちなみに、物上代位について特権説をとれば、差し押さえの時期に関しては、優先権保全説というものにつながります。
反対に、価値権説をとれば、特定性維持説というのものにつながります。
そして、それとは別に、差し押さえの時期に関して、第三債務者保護説という有力な説があります。
興味がある方は、一度勉強してみると面白いと思います。
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■ 編集後記 ■
先取特権という言葉を使っていますが、読み方は大丈夫でしょうか?
「せんしゅとっけん」とは読みません。「さきどりとっけん」と読みますので注意してくださいね。
先取特権は、ほんとに難しいですから、わからなくてもあまり気にしないでくださいね。わからなくて当然だと思います。
先取特権や物上代位という言葉とある程度の内容だけわかっておけば十分です。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
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