第222号 民法 第281条 (地役権の付従性)
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第222号 2006・11・9
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。
今日は、民法281条の解説です。これも地役権に独特の規定なので、しっかりと理解してください。
それでは、はじめていきましょう!!
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▼▼▼ 民法 第281条 (地役権の付従性) ▼▼▼
1項
地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。
2項
地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
■■ 解説 ■■
さて、どうでしょうか?
条文を読んだだけでは分かりにくいかもしれませんが、前回解説した地役権の特質というか内容をしっかりと理解できていれば、理解しやすいと思います。
まず、1項ですが、要役地が譲渡されれば、地役権も共に移転するということを規定しています。
例えば、Aさんが細い道の奥に甲という土地を持っていて、不便なので、通行しやすくするために、Bさんの乙土地に通行地益権を設定しました。
この場合、甲土地を要役地といい、乙土地を承役地といいましたよね。わからない方は前回の解説をバックナンバーで参考にしておいてください。
その後、Aさんは甲土地をCさんに譲渡したとします。つまり、要役地が譲渡された場合です。
この場合、地役権は、甲土地の所有権と共にCさんに移転することになります。
この理由はなんでしょうか?
地役権というのは、自己の「土地」の便益に供するために設定するものでしたよね。
自分という「人」の便益に供するためではなくて、自己の「土地」の便益に供するために設定されているのです。
とすると、その土地が移転すると、地役権も同時に移転しなければ、地役権が設定された意味がありませんよね。
ということで、1項が規定されているのです。
次に、2項ですが、これも同じように考えれば簡単に理解できます。
2項は、要役地から独立して地役権だけを処分することはできないと規定しています。
さきほども言いましたが、地役権は、要役地の便益に供するために設定されているものです。
つまり、地役権だけ持っていても何の意味もないわけです。
要役地とセットで地益権を持っていて、はじめて意味があるものなので、このような規定があるわけです。
さきほどの具体例にあてはめて、ちょっと考えてみてください。
甲という土地が、細い道の奥にあるから、通行しやすくするために乙土地を通行できるという地役権が設定されているわけですよね。
甲という土地を持っていない人が、乙土地を通行することができるという権利だけを持っていても何の意味もありません。
別にわざわざ乙土地を通行する必要なんてないわけですから。
■■ 豆知識 ■■
民法281条と民法177条に関連して有名な判例があるので紹介しておきます。
法律系の資格試験にはよく出題されますが、それ以外の方にはあまり関係のない話ですので聞き流してもらってもかまいません。
承役地の所有権が移転した場合、要役地所有者が通行地役権を主張するには、原則として登記を要する(177条)。
しかし、1、通路の継続的使用の事実が客観的に明らかで、2、それにつき承役地の譲受人が認識可能であれば、譲受人が善意でも「第三者」にあたらず登記がなくても通行地役権を主張できる。
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■ 編集後記 ■
少し難しかったかもしれませんが、地役権というのが、どんな権利なのか?という本質が理解できていれば、簡単に理解することができます。
法律の勉強は、その条文の本質というか趣旨を考えるというのがすごく大事です。
反対に言うと、趣旨や本質が分かっていれば、ほとんどの知識はそこから派生しているだけなので、覚えなくても考えれば理解することができます。
法律の勉強は、はじめは膨大な量のように感じますが、ある時点から突然、そうでもないと思えるようになります。
苦しくても頑張ってください!!
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
夢を実現するには、強く毎日念じることが必要です。
夢の実現可能性は、思いの強さに比例します。
毎日毎日念じることで、意識は潜在意識に変わります。そこまでくれば、しめたものです。
ということで、自分に言い聞かせるという意味もこめてこれから最後に、必ず、次の私の大好きな言葉を書くことにします。
「やればできる。必ずできる。最後まで絶対あきらめない。」
関連条文
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