第215号 民法 第269条 工作物の収去等
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第215号 2006・10・19
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。
今日は、民法269条の解説です。
民法269条は、地上権に独特の規定で、おもしろい条文です。
こういう少し独特な条文は知識として覚えてしまってください。
それでは、はじめていきましょう!!
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▼▼▼ 民法 第269条 (工作物の収去等) ▼▼▼
1項
地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を現状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2項
前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
■■ 解説 ■■
この民法第269条は、地上権者の収去権と地主(地上権設定者)の買取権を規定しています。
まず、言葉の解説をします。
地上権者と地上権設定者というのはどちらがどうなのか、ということが分かるでしょうか?
例えば、Aさんが甲という土地を所有していて、その甲という土地にBさんが地上権を設定して、乙という建物を建てて住んでいました。
この場合、地上権を設定されたAさんを地上権設定者といいます。
他方で、地上権を設定して土地を利用しているBさんを地上権者といいます。
これは抵当権などでも同じ言い方をします。
抵当権を設定している人が抵当権者、抵当権を設定されている人が抵当権設定権者です。
さて、前置きはこれくらいにして、まず、地上権者の収去権です。
さきほどの事例で、Bさんは、甲土地に地上権を設定して、乙建物を建てて住んでいましたが、地上権の存続期間が満了すると、Bさんは、その建物を収去して、土地を元の状態に戻して返還する必要があります。
これは、建物などを収去する権利が認められているともいえるし、反対に言えば、義務でもあるわけです。
次に、地上権設定者の買取権です。
地上権設定者というのは、さきほどの事例でいえば、Aさんの方です。
Aさんは、地上権の存続期間が満了すると、その土地の上に建っているBさんの建物を時価で買取る権利が認められます。
そして、Aさんが買取権を行使した場合、Bさんは正当な理由がなければ拒むことができません。
理由は、せっかく立てた建物を取り壊すというのはもったいないですよね。せっかく地主であるAさんが買取ってあげると言っているのだから、よほどの理由がない限りわざわざ取り壊さずに、買取ってもらいましょうということです。
2項は、その地方に独自の慣習がある場合には、その慣習が優先的に適用されるということを規定しているだけです。
あまり、気にしなくてもかまいません。
1項の本文が原則で、但し書きが例外というような規定になっています。
契約が終了すれば、元通りにして返還するのが原則。
ただ、買取権が行使された場合は例外的に、建物などはそのままで返還すればいいということです。
■■ 豆知識 ■■
地上権設定者の買取権について解説しましたが、似たような概念として、建物買取請求権というのがあります。
例えば、Aさんが有している甲という土地をBさんが借りてその上に乙という家を建てました。
その後、土地の賃貸借契約が終了した場合、本来であれば、Bさんは家を取り壊して、土地を元の状態に戻して返還する必要があるのですが、建物買取請求権を行使すると、Aさんは、その建物を買取らなければならなくなるのです。
これも先ほどと同じ理由で、せっかく建てた建物を取り壊すのはもったいないですよね。ですから、できるだけ残す方向で処理しようとしているわけです。
ただ、権利を行使する方が逆なのです。
地上権の買取権の場合は、土地を利用させていて、土地を返還してもらう人が行使するわけです。
反対に、建物買取請求権は、土地を借りていて返還しなければならない人が行使するのです。
そういう意味で、この地上権の買取権というのは特殊ですので注意してください。
それから、建物買取請求権は借地借家法で規定されていて、賃貸借の部分で解説しますので今は気にしなくてもかまいません。
ちなみに借地借家法というのは、法律の世界では、(しゃくちしゃっかほう)と呼ぶことが多いです。
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■ 編集後記 ■
今日の条文は、ちょっと変わった条文だったので、覚えてしまってくださいね。
それから、言葉の説明もしましたので、それも大事ですから覚えてください。
冒頭でも言いましたが、勉強の方法論というのはほんとに大事ですから、貪欲に吸収しようとしてくださいね。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
京都にある清明神社で占いをしてもらいました。
平安時代に最強を誇った陰陽師である安部清明が拠点としていた神社です。
3,000円と少し高いですが、かなり参考になりますよ。
京都に行ったときは、ぜひ立ち寄ってください。
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