第212号 民法 第265条 地上権の内容
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第212号 2006・10・8
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんにちわ。
今日は、民法265条の解説です。
前回で、所有権の解説が終わって、今日からは、地上権の解説に入っていきます。
これから、私たちが勉強していくのは、民法第2編の物権編の第4章の地上権です。
地上権というのは、物権の一つなんだ、ということを意識しておいてください。
それでは、さっそくはじめていきましょう!!
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▼▼▼ 民法 第265条 (地上権の内容) ▼▼▼
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
■■ 解説 ■■
さて、この民法265条は、地上権の一発目の条文で、地上権の内容を簡単に説明しているものです。
地上権というのは、物権の中でも強力な権利で、全面的支配権である所有権の次くらいに強力な権利であると考えていいと思います。
地上権というのは、条文に書いてあるそのままですが、他人の土地において、工作物又は竹木を所有するために設定することができる権利です。
詳しく解説するときりがないので、今回は簡単に少しだけ説明しておきます。
例えば、Aさんが、自分の家を建てたいと考えていましたが、Aさんは土地を持っていませんでした。
この場合、当然Aさんは土地を何とか調達しなければならないわけですが、方法としてはいくつかあります。
1、まず、手っ取り早いのが土地を買ってきて、土地の所有権を取得することです。
2、次に、土地を誰かから借りてくることです。つまり、土地の賃貸借契約を締結する ことになります。
3、そして、もう一つ考えられるのが、他人の土地に地上権を設定することです。
この2と3の方法はすごく似ています。
両者とも、他人の土地に自分の家を建てるということに変わりはありません。
しかし、決定的に異なる点があります。
それは、2の賃貸するという方法の場合は、Aさんが有しているのは、土地に対する賃借権という「債権」です。
他方で、3の地上権を設定するという方法の場合は、Aさんが有しているのは、地上権という「物権」なのです。
ここで、債権と物権の定義を思い出しましょう。
債権とは、特定人(債権者)から特定人(債務者)に対して一定の財産上の行為を請求することができる権利をいいます。
他方で、物権とは、物を直接的・排他的に支配する権利をいいます。
さきほどの事例で、Aさんが土地を借りている相手がを仮にBさんとしましょう。
そして、例えば、Bさんの土地をCさんが妨害しているとします。
この場合、2の賃借権の場合、Aさんは、Cさんに対して原則として、直接その妨害をやめるように請求することはできません。
他方で、3の地上権の場合は、Aさんは、Cさんに対して、妨害をやめるように直接請求することができます。
つまり、賃借権というのはあくまで、債権であり、特定人(債権者)から特定人(債務者)に対して請求できる権利にすぎないのです。
Cさんは、債務者ではありませんから、Cさんに直接妨害をやめるように請求することはできず、Aさんは、Bさんに対して、「Cさんに妨害をやめるにように言ってくれ」ということができるにすぎないのです。
他方、地上権の場合は、物権で、目的物を直接的・排他的に支配することができるのでその円満な支配を妨害するものがある場合には、相手が誰であれ、「妨害するな!」ということができるのです。
物権というのは、これだけ強力な権利だというわけです。
ただ、当然ですが、地上権を設定する場合には、賃借する場合よりも費用は当然高くなります。
■■ 豆知識 ■■
地上権が強力な権利だということに関して豆知識を一つ紹介しておきます。
地上権者は、地主の承諾なしに、自由に地上権を移転・処分することができます。
賃借権の場合は、承諾なしに、賃借権を移転したり処分することはできません。
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■ 編集後記 ■
今日の解説は、少し難しかったかもしれません。
物権や債権についての基本がきっちりとできていないと、理解するのが難しかったかもしれませんので、バックナンバーを参考にしながら、何回も復習してくださいね。
それから、今日の解説で一つ注意点があるのですが、賃借権の物権化傾向という話があって、不動産賃借権に関しては、あくまで債権だけれども、物権類似の効果を認めていくべきではないか、という話があります。
そのことまで考えると、今日の解説は厳密にいうと不正確なのですが、今はとりあえず気にしなくてもかまいません。
今日の解説で、物権と債権の大きな違いを理解していただければ十分かと思います。
このメルマガもかなり難しくなってきていると思いますので、バックナンバーも参考にして頑張ってついてきてくださいね。
それから、最後にもう1点だけ。
地上権は物権で、賃借権は債権だということを解説しましたが、なぜだかわかりますでしょうか?
答えは条文です。
地上権は、265条以下で規定されていて、賃借権は601条以下で規定されています。
つまり、地上権は民法の中の第2編の物権の中に規定されており、賃借権は、第3編の債権の中に規定されているからです。
自分が勉強している条文が、民法全体の中のどの部分なのか?ということを常に意識してください。
六法を持っている方は、民法の目次がどこかについているはずですので、その目次をぜひチェックしておいてくださ。
今日は、ほんとに難しい話ばかりしましたので、もしわからなくても気にしないでくださいね。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
今回は、少し長くなってしまいました(^○^
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