第205号 民法 第255条 持分の放棄及び共有者の死亡 解説
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第205号 2006・9・9
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。
今回は、民法255条を解説したいと思います。
この民法255条は、共有の弾力性を規定した条文で、共有の本質を理解する上でかなり重要な条文です。
しっかりと理解してくださいね。
それでは、はじめていきましょう!!
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▼▼▼ 民法 第255条 (持分の放棄及び共有者の死亡) ▼▼▼
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
■■ 解説 ■■
共有者の一人について持分の放棄や死亡という事由が生じた場合に、その持分はどうなるのかということを規定した条文です。
本来、持分権が放棄されると、それが動産の場合には、先占(民法239条1項)の対象となり、不動産の場合は、国庫に帰属(239条2項)するはずです。
これは以前に解説したので、わからない方はバックナンバーを参考にしてくださいね。
また、共有者の一人が死亡したときは、その持分権は国庫に帰属するはずなのです。
これは、まだ解説していませんが、民法959条で規定されています。
つまり、共有者の一人が持分を放棄したり、死亡したとして、本来であれば、他の共有者が当然にその持分を取得するということはないわけです。
しかし、この民法255条は、政策上、持分権を当然に他の共有者に帰属させることにしました。
この理由は、共有の本質に関わってきます。
すなわち、共有というのは、本来所有権という強力な権利を有しているはずのところ、他の共有者との関係で一定の制約を受けているにすぎないのです。
とすれば、他の共有者が死亡したり、持分を放棄したとすれば、本来の強力な所有権としての性質に復帰するわけです。
この共有の本質から、民法255条は規定されており、これを共有の弾力性といいます。
以前にも、解説しましたが、一つの箱の中に風船をたくさん詰め込んでいる状態に似ています。
風船がたくさん詰まっている状態だと、一つ一つの風船は、収縮して箱の中に納まっています。
しかし、その箱の中の風船うち何個が割れたとします。
すると、他の風船は、その分だけふくらみます。
というイメージです。よくこの具体例があげられているので一応紹介しました。
だいたいのイメージだけつかめればいいかと思います。
■■ 豆知識 ■■
この民法255条に関して、後ほど出てくる論点があるのですが、さらっとだけ触れておきます。
共有者が相続人なくして、死亡した場合に、特別縁故者への持分権の付与(958条の3)と本条の関係が問題となります。
どちらが先に適用されるのかという問題なのですが、判例は前者による処理が優先的に適用されるとしました。
まぁ、今は流してください。とりあえず、そんな論点があるんだということだけ知っておけばいと思います。
詳しい解説は、958条の3の解説の部分でやります。
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■ 編集後記 ■
今日の、共有の弾力性は、共有の本質を理解するためにすごく重要ですので、いろいろと自分で考えてみてくださいね。
難しいので、きちんと理解することはできないかもしれませんが、共有の弾力性という言葉だけは覚えておいてください。
それでは、次回も頑張っていきましょう!!
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(裏編集後記)
最近、憲法の判例を重点的に勉強しています。
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憲法改正が議論されているこの時代だからこそ、そもそも憲法ってどんな場面で機能しているのかということを知るきっかけになります。
判例は、生の実際におきた事件です。ほんとにドラマチックな事件が多くて、くだらない小説よりも感動しますよ。
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