第185号 民法 第209条 隣地の使用請求 解説
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第185号 2006・7・12
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■■ はじめに ■■
みなさん、こんばんわ。前回も軽く触れましたが、208条は削除されておりますので、今日は民法209条の解説になります。
今日の条文はとても分かりやすいと思います。
それでは、はじめていきましょう!!
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▼▼▼ 民法 第209条 (隣地の使用請求) ▼▼▼
1項
土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2項
前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
■■ 解説 ■■
さて、この条文は所有権にも限界があることを規定した条文です。
以前の解説で、所有権は、使用・収益・処分をすることができる全面的支配権であるということを解説しました。
そうだとすると、隣の家が工事をしている場合でも、自分の土地に一切入ってくるなということができそうだとも思えますよね。
まぁ、常識的にそういうことを言うかどうかはおいといて、法律的には、所有権を根拠に「一切自分の土地に立ち入るな!」ということが言えそうです。
しかし、所有権は無制限に行使できるわけではなく、一定の限界があります。
その限界を規定した条文の一つがこの民法209条です。
つまり、隣の家の人が建物の工事をしようとしているような場合には、必要な範囲で自分の土地を使わせてあげなければならないということです。
これが所有権の限界です。
確かに、所有権は全面的な支配権だけれども、社会をうまくまわらせるために、一定の場合に所有権に限界を設けているのです。
民法206条を覚えているでしょうか?
民法206条は、「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と規定されています。
「法令の制限内において」という文言が入っています。
この一つが、今日の民法209条というわけです。
そして、2項は簡単ですよね。
自分の土地を使わせてあげないといけないけれども、もしそれによって、損害を受けた場合は、償金を請求することができるということです。
■■ 豆知識 ■■
今日の条文は、豆知識はありません。
条文を読めば、すぐに理解できると思います。
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■ 編集後記 ■
今日の民法209条は、1項、2項ともに、ある意味であたりまえのことを規定している条文です。
しかし、当たり前のことだと言っても、自分にとっては当たり前でも、相手にとってはあたりまではないかもしれません。
ですから、どんな些細なことでも、正当に主張するためには法律の根拠が必要なのです。
日常の常識的なことでも、法律の根拠は何なのか?ということを常に意識してくださいね。
例えば、私はインターネットで物を販売しているのですが、注文が入った後に、よくキャンセルの依頼があります。
ほとんどの場合、対応できる状況であれば対応するのですが、このキャンセルというのは法律上の根拠としては何なのでしょうか?
実は、この場合のキャンセルというのは法律的にいうと、解除というのですが、その中でも合意解除というものに当たります。
つまり、私(店側)が応じなければ、キャンセルすることはできません。
注文と承諾があった時点で、売買契約は成立しているわけですから、もはや一方的にキャンセルなんてできないのです。
最近では、どこの店でもキャンセルを受け付けている店が多いので、キャンセルできるのが当たり前だと思っている人が多いのですが、そんなことはないので注意しましょうね。
あくまで、店側の好意です。
それでは、次回もお楽しみに!!
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(裏編集後記)
さっきのキャンセルの話ですけど、ほんとにごく稀に失礼な人がいるので、ちょっと頭にくることがあります。
キャンセルできるのが当然のように考えているみたいで、すごく偉そうな態度で言ってくる方がおられます。
よっぽどひどくない限り対応しますが、あまりにもひどいとねー。
関連条文
・第200号 民法 第250条 共有物の使用 解説(20062929)
・ 第199号 民法 第249条 共有物の使用(20062929)
・第198号 民法 第248条 附合、混和又は加工に伴う償金の請求(20062929)
・第197号 民法 第247条 附合、混和又は加工の効果 解説(20061818)
・第196号 民法 第245条 混和 解説(20061818)
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