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第175号 民法 第198条  占有保持の訴え

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第175号 2006・6・14
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■■ はじめに ■■

みなさん、こんばんわ。今日は、民法198条の解説です。

前回は、民法197条で占有の訴えの総則的な規定の解説でした。

占有の訴えには、3つの類型があり、それをこれから一つずつ解説していくことになります。

占有の訴えの3つとは、占有保持の訴え、占有保全の訴え、占有回収の訴えです。

まずは、今日は民法198条の占有保持の訴えの解説をします。

それでは、はじめていきましょう!!

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▼▼▼ 民法 第198条 (占有保持の訴え) ▼▼▼

占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

■■ 解説 ■■

さて、どうでしょうか。この民法198条は、3つある占有の訴えの一発目の占有保持の訴えを規定している条文です。

占有保持の訴えは、条文を読めば大体内容を理解することができると思うのですが、簡単に説明したいと思います。

例によって、いきなり具体例から入ります。

Aさんが、ある土地を占有していましたが、その土地にBさんが勝手に入ってきているような場合を想定してみてください。

この場合、AさんはBさんに対して何が言いたいでしょうか?

当然、「勝手に人の土地に入ってくるな!」と言いたいですよね。

でも、何かを請求するときには、必ず法律上の根拠が必要です。

その法律上の根拠となるのが、この民法198条の占有保持の訴えです。

つまり、「占有者」であるAさんが、その土地の「占有を妨害され」ているわけですから、勝手に入ってくるなという「妨害の停止」を請求することができるわけです。

これが、民法198条の占有保持の訴えです。

もう一つ補足説明をしておきます。

もし、さきほどの事例で、Aさんがその土地の所有者であった場合はどうでしょうか?

この場合、Aさんはその土地の所有権を有していますので、所有権に基づく妨害排除請求として、「人の土地に勝手に入ってくるな!」ということができます。

ですから、土地の占有者が同時に所有権者でもあるような場合は、占有の訴えはあまり意味がありません。

しかし、反対にさきほどの事例で、Aさんがその土地の所有権を有しておらず、誰かに借りて占有していた場合はどうでしょうか?

この場合は、Aさんはその土地の所有権を有していませんので、所有権に基づく妨害排除請求をすることができません。

これは困りますよね。

自分が借りて土地を占有しているのに、その占有を妨害する人が出現した場合には、当然「入ってくるな!」と言いたいはずです。

そのような場合に、この民法198条の占有保持の訴えが特に重要になってきます。

つまり、所有権を有していなくても、ある物を占有している者は、その占有を守るために占有権に基づいて占有保持の訴えをすることができるわけです。

これが、民法198条の占有保持の訴えです。

■■ 豆知識 ■■

少し細かいですが、民法198条は、「妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる」と規定しています。

つまり、妨害の停止だけでなく損害が発生した場合には損害賠償請求もすることができます。

ただ、この損害賠償請求というのは、後ほど解説する不法行為を根拠としていると考えられていますので、妨害者に故意・過失がある場合にのみ認められています。

もし、妨害者が、故意・過失なく妨害をしていた場合には、損害が発生していたとしても、妨害の停止だけしか請求することができず、損害賠償請求をすることができません。

それから、大丈夫だと思いますが、解説中に時々「」でくくっている部分がありますが、「」でくくられている部分は条文の文言を引用しているという意味です。

「」の中の部分の言葉を条文の言葉と対比しながら読んでみてくださいね。

法律は条文が大事ですから、文章中に条文の文言を引用するときは「」でくくることになっています。

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■ 編集後記 ■

どうだったでしょうか?内容は、それほど難しくなかったと思います。

法律というのは、結論を公平にするための技術にすぎませんから、まず自分が当事者だった場合、相手に対して何が言いたいのかということを考えると理解しやすいです。

法律の根拠なんて所詮は後付けなのです。

さきほどの、具体例でいえば、自分がAさんの立場だったとしたら、何が言いたいのかを考えてみてください。

当然、「勝手に土地に入ってくるな!」と言いたいですよね。

次に、それを主張するための法律上の根拠を考えるわけです。

土地の所有権者でもある場合は、所有権に基づく妨害排除請求もできるし、占有保持の訴えもできる。

所有権がない場合は、占有保持の訴えができる。

という感じです。

要するに、ある請求をする場合、法律上の根拠は一つに限らないということです。

ちょっと、話がそれましたが、法律の勉強をする際の大事な考え方ですので、参考にしてみてください。

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