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第161号 民法 第187条 占有の承継 解説

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第161号 2006・5・11
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■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。

昨日の、民法186条の解説は難しかったと思います。今日は、民法187条の解説ですが昨日よりは簡単なので安心してください。

話は変わりますが、昨日携帯電話を変えました。いつも一番身近にもっているものですので、ちょっとした気分転換になりますね。

携帯電話は、すごくハイテクなおもちゃですね。

それでは、さっそくはじめましょう!

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▼▼▼ 民法 第187条 ▼▼▼ (占有の承継)

1項
占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。

2項
前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

■■ 解説 ■■

さて、さっそく解説に入りたいと思いますが、民法187条は1項と2項があります。

そして、2つをまとめて説明すると長くなってしまうし、ややこしくなってしまう可能性がありますので、今日は1項だけ説明することにします。

2項は、次回の解説ということになりますが、1項をしっかりと理解していないと全然意味がわからないということになりますので、しっかりと1項を理解してください。

1項は占有を承継した者は、自己の占有のみを主張することもできるし、前の占有者の占有も併せて主張することができると規定しています。

これは、取得時効の場面でよく問題になる規定です。

取得時効の場面を具体例にあげながら解説したいと思います。

Aさんは、他人の甲さんの土地を16年占有していました。

その後、Aさんは、その土地を自分のものであるとウソをついてBさんに売りました。

そして、Bさんは、その土地を5年間占有していました。

この場合、Bさんはその土地を時効取得することができるでしょうか?

土地を時効によって取得するには、善意の場合は10年悪意の場合は20年占有を続けることが必要でした。(バックナンバーの162条の部分を参照)

とすると、Bさんは、まだ5年間しか占有していないので、善意であろうが、悪意であろうが、いずれにせよ土地を時効によって取得することはできないように思えます。

ただ、それは、「自己の占有のみを主張」した場合です。自己の占有を主張することができるのは当然です。

ただ、187条1項は、「自己の占有に前の占有者の占有を合わせて主張することができる」と規定しています。

つまり、Bさんは、前の占有者であるAさんの16年間の占有というのも併せて主張することができるのです。

とすると、Aさんの16年間の占有と自分の5年間の占有を併せると21年間、その土地を占有していたことになります

したがって、善意であろうが悪意であろうが、Bさんはその土地を時効取得することができるということになります。

このように、占有が承継される場合における、自分の占有権と前の占有者の占有権の二面性を認めているのがこの民法187条です。

■■ 豆知識 ■■

民法187条1項は、自己の占有のみを主張できるし、又は前の占有を併せて主張することもできると規定しています。

占有している期間が長い方が、取得時効しやすいのだから、前の占有を合わせて主張した方がいいにきまってると思えますよね。

でも、わざわざ自己の占有だけを主張することができるとも規定してあります。

これは、なぜでしょうか?

この問題が次回の187条2項の解説につながります。ちょっと考えてみてください。

つまり、前の占有を合わせて主張するより、自己の占有だけを主張した方が有利な場合があるということです。

それから、この1項は、相続のような包括承継の場合にも適用されます。

さきほどのように、特定の人から土地を譲り受けたような場合は、特定承継といいます。

包括承継と特定承継という言葉の意味も覚えておいてくださいね。

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■ 編集後記 ■

今日の解説は、そんなに難しくなかったと思います。今は、物権の中の占有権の解説をしているわけですが、占有権の部分はほんとに難しいです。

今日で、1項は理解できたと思うので、2項もちょっと自分で考えてみてくださいね。

人が解説しているのを聞いたり、読んだりするのは簡単ですし、わかった気になります。

でも、それはほんとうに分かっているわけではないんです。

自分でしっかりと考えて、論理的に説明することができてはじめて「分かっている」といえるのです。

人の話を聞いているのは、自分は考えなくてもすむから、楽なんです。

自分で考えるのはしんどいです。でも、そのしんどい事をやらないと自分のものにはなりません。

頑張っていきましょう!!

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

数年前から、やたらとハマーに乗っている人が増えていますね。ああいう、車をきれいにカスタムして乗るというのは、本来の魅力が落ちて個人的にはあまり好きではないんですけどね。

もっと、ラフに乗るからこそ、かっこいいんだと思います。

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第172号 民法 第196条 占有者による費用の償還請求(20061313)

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