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第163号 民法 第189条 善意の占有者による果実の取得等

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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第163号 2006・5・17
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■■ はじめに ■■

みなさん、おはようございます。

今日は、民法189条の解説です。この民法189条は、突っ込むと難しい問題が出てくるのですが、一応理解するにはそれほど難しくありません。

先日、一人で京都の天橋立にドライブしてきました。日本三景の一つなのですが、その国道沿いを走っていた時に地域格差のを実感しました。

国道沿いの店でもあるにかかわらず、ほとんどの店が潰れているのです、潰れてないのは建築や土木関連の会社だけです。

景気が回復しているのは、間違いなく都会部だけです。これから、どんどん格差社会に拍車がかかると思うので、少し心配な社会になりそうですね。

反面、厳しくなったとはいえ、土建業界はまだまだ稼いでいるところが多いようです。

公共事業は、資本主義の矛盾を解消するために何とかっていう経済学者が考えたシステムで、確かに効果があったことは間違いないようです。

しかし、それがむしろ現代においては反対に矛盾を生み出しているような気がします。

世界中の土建屋の3分の1が日本に存在するらしいのですが、明らかに多すぎます。

ほんとに税金の無駄使いはやめて欲しいものです。

それでは、さっそくはじめましょう!!

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▼▼▼ 民法 第189条 ▼▼▼ (善意の占有者による果実の取得等)

1項
善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。

2項
善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。

■■ 解説 ■■

さて、さっそく解説に入りたいと思うのですが、「果実」というよくわからない言葉が出てきました。

一番分かりやすいのが賃料です。家を誰かに貸せば賃料が入ってくるわけですが、その賃料が、家から生じる果実ということになります。

そして、1項は、善意の占有者は権原がなくても、その占有物から生じる果実を取得することができると規定しています。

例えば、Aさんが、自分の家ではないのに、自分の家だと信じて、その家に住み、その一部をBさんに貸して、賃料を得ていました。

この時、その家は、自分のものではないわけですから、当然賃料を自分のものにすることはできないとも思えますよね。

でも、自分の家だと善意で信じている人は、当然その賃料は自分のものだと思って取得して使ったりすることになります。

その後に、その家の真の所有者から「その家は自分のものだから、今まで取得した賃料を返してくれ!」といわれるとAさんとしては困ります。

もう使ってしまってないかもしれません。

ですから、民法189条1項は、そのような善意で占有している人を保護するために規定されているのです。

当然、その家が自分のものではないと分かっている悪意の人にはこの規定は適用されませんので、今までの賃料として得たものは返還しなければなりません。

あくまで善意の占有者を保護するための規定です。

次に2項です。

さきほどの事例で、Aさんは他人の家を善意で占有して、賃料を得ていたわけですが、その後、真の所有者であるBさんから、「その家を返せ!」と訴えられました。

そして、Aさんは裁判に負けてしまいました。

すると、Bさんが訴えた時から、Aさんは悪意の占有者であったことになります。

つまり、訴えられた時から民法189条1項の適用がなくなり、その後に取得した賃料は返還する必要があるのです。

理由は簡単です。

確かに、Aさんは自分の家だと信じて占有していたわけですが、真の所有者であると名乗るBさんから訴えられているわけです。しかも、負けています。

訴えられると、「この家はほんとに自分のものかな?」と思うのが通常です。

しかも負けているわけですから、それは、もう善意とはいえないでしょうということになります。

ここで注意すべき点が一つあります。

悪意とみなされる時期は、裁判で負けた時からではありません。

訴えられた時からです。

これはよく法律系の資格試験にひっかけ問題として出題されますので注意してください。

■■ 豆知識 ■■

2項では、本権の訴えという言葉が使われています。

ある請求の根拠となるような権利のことです。

難しいので、聞き流していただければかまわないのですが、本権の典型例が所有権です。

例えば、自分の土地を誰かが占有している場合、土地の所有者は妨害排除請求権という権利を有することになります。

その妨害排除請求権という権利の根拠になる権利は、その土地の所有権なのです。

このように、ある権利の根拠になっている権利のようなものを本権といいます。

他にも、本権は、留置権や動産質権などがあります。

ただ、留置権や動産質権は、そもそも果実を収取する権利がないので、民法189条1項は適用されません。

詳しくは、留置権や動産質権の部分で解説します。

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■ 編集後記 ■

さきほどの本権の説明は、少し不正確な部分があるかもしれません。本来はしっかりと定義を基本書などで調べるべきなのですが、だいたいのイメージを理解してもらうために分かりやすく説明したつもりです。

多少不正確な部分があるかもしれませんが、ある程度の理解はしていただけると思いますので、その点はご了承ください。

占有権は、205条まで続きます。占有権は難しいですが、重要なので、頑張って理解してくださいね。

それでは、次回もお楽しみに!!

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(裏編集後記)

私は、自分で商売をしているものですから、就職をしたことがありません。

もちろん、就職活動もしたことがありません。

でも、経験のある人に聞いてみるとほんとに集団面接は難しいそうですね。

いかに、自分がその集団から浮き上がることができるかが重要なのでしょうね。

関連条文

第177号 民法 第200条 占有回収の訴え 解説(20062929)

第176号 民法 第199条 占有保全の訴え 解説(20062727)

第174号 民法 第197条 占有の訴え 解説(20062424)

第172号 民法 第196条 占有者による費用の償還請求(20061313)

第171号 民法 第195条 動物の占有による権利の取得(20061313)

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