第124号 民法 第145条 時効の援用
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第124号 2006・2・1
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■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。
もう、2月に突入いたしました。今年になってもう1ヶ月です。
みなさんも、一日一日を大切にしましょう!!
さて、前回から時効の解説に入っていきました。時効は、難しいので、分からなくてもあまり気にせずに、読み進めていってくださいね(^O^)
後で、何かのきっかけで一気に理解することができるということはよくあることなので。
それでは、さっそくはじめましょう!!
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▼▼▼ 民法 第145条 (時効の援用) ▼▼▼
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
■■ 解説 ■■
この民法145条もとても重要な条文です。
前回の説明で、一定の期間の経過によって、権利が消滅したり、権利を取得したりすることができると説明しました。
ただ、正確にいうと、それは不正確な説明で、時効の効力を発生させるためには当事者の「援用」というものが必要です。
つまり、援用をしないと、一定の期間が経過したとしても時効の効力は生ぜず、裁判所も時効を前提にして裁判することができないのです。
例えば、Aさんが、Bさんに対して100万円貸したとします。
この場合、Aさんは、Bさんに対して100万円の返還請求権を有しています。
しかし、この返還請求権を10年間行使しないと、時効によって消滅してしまいます。
つまり、Aさんは、Bさんに対して「100万円返せ!」とはいえなくなるのです。
ただ、10年間経過した時点で、当然に権利が時効によって消滅するわけではなく、Bさんが、「時効を援用します。」と言ってはじめて、時効で権利が消滅することになるのです。
なぜ、このような規定があるのかというと、普通は100万円がチャラになることは、うれしいですよね。
でも、借りた金はきっちりと返すのがポリシーだという人がいるのです。
そういう、時効の利益を受けることを潔しとしない当事者の意志を尊重するために、援用があって始めて時効によって権利が消滅すると規定したのです。
民法の大原則を覚えているでしょうか?
私的自治の原則というのがありましたよね。当事者の意思を尊重するのが、民法の大原則です。
この145条は、私的自治の原則のあらわれということができます。
■■ 豆知識 ■■
今日の豆知識は、重要なのですが、今はまだ難しいかもしれませんので、読み飛ばしていただいてもかまいません。
消滅時効が完成した後に、時効が完成していることを知らずに、債務の承認をした債務者は、信義則上時効を援用することができなくなります。
債務の承認というのは、自分が債務を負っていることを認めることです。
例えば、「金を返せ!」と言われて「もうちょっと待ってくれ!」などと言ってしまった場合です。
「もうちょっと待ってくれ!」と言うのは、自分に債務があることを認めていることになりますよね。
なぜなら、債務がないのであれば、「お前に返す必要はない!」と言うでしょうから。
「もうちょっと待ってくれ!」と言われると、もう少し待てば返してくれるのだろうと相手は思ってしまいますよね。
待っていたら、いきなり時効を援用された、というのではあまりにも相手がかわいそうです。
ですから、債務を承認した場合は、信義則上時効を援用することはできなくなるのです。
〜「当事者」に該当し時効を援用することができる者(判例)〜
1、物上保証人、抵当不動産の第三取得者
2、(連帯)保証人
3、連帯債務者
〜「当事者」に該当し時効を援用することができない者(判例)〜
1、債務者、物上保証人の一般債権者
2、後順位抵当権者
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■ 編集後記 ■
実は、この時効の援用に関しては、激しい学説の対立があります。
大きく分けても4つくらいの説が対立しているのですが、ここでは一つしか解説していません。
これだけわかっていれば十分だと思いますし、それ以上深入りする必要もないと思います。
一応、今日の解説は、実体法説の中の停止条件説というものを前提に解説しました。
ただ、あまり気にしないでください。興味のある方はちょっと調べてみるとおもしろいかもしれません。
何度も言いますが、時効はほんとに難しいです。あまり考えすぎないようにしましょう。
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関連条文
・第142号 民法 第168条 定期金債権の消滅時効(20061616)
・第141号 民法 第167条 債権等の消滅時効(20061616)
・第140号 民法 第166条 消滅時効の進行等(20060808)
・第139号 民法 第164条 占有の中止等による取得時効の中断(20060808)
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