第103号 民法 第120条 取消権者
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毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇! 第103号 2005・12・28
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■■ はじめに ■■
みなさん、おはようございます。今日は103号です。
いよいよ今年も終わりですね。
ちなみに、年末年始の発行予定は未定です。どうなるかわかりませんが、できるだけ発行しようと思っていますので、よろしくお願いします。
それから、現在あの早稲田大学がキャンペーンをやっています。何か新しい企画を考えているようで、そのアンケートに答えると最新ノートパソコンなどが当たります。
早稲田大学のアンケートですから、信頼性は抜群ですし、応募者も少ないのではないかと考えています。
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▼▼▼ 民法 第120条(取消権者) ▼▼▼
1項
行為能力の制限によって取消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取消すことができる。
2項
詐欺又は強迫によって取消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取消すことができる。
■■ 解説 ■■
さて、今までに未成年者がした契約や、詐欺によってなされた契約などは取消すことができるということを説明してきました。
といっても、誰でも取消すことができるわけではありません。
全然知らない人が、「あなたが、昨日締結した契約は取消しておいたよ。」とか言ってきてその取消が有効となると、たまったものじゃないですよね。
このように契約の当事者と何らの関係もない人は取消すことができません。
このようなある意味、当たり前のことを規定したのが、民法120条です。
1項が行為能力の制限によって取消すことができる場合の取消権者の規定です。例えば、未成年者が親の承諾なく勝手に契約をしてきた場合などです。
そして、2項が詐欺や強迫(96条)によってなされた契約を取消す場合の取消権者についての規定です。
承継人というのは、特定承継人と包括承継人というのがありますが、120条でいう「承継人」には、その両方が含まれています。
包括承継人というのは相続人などで、特定承継人というのは、契約上の地位を譲り受けたような人のことをいいます。
■■ 豆知識 ■■
この取消権ですが、保証人には認められません。
例えば、BさんがAさんから金を借りる際に、CさんがBさんの保証人になったとします。
この場合、Aさんを債権者、Bさんを主債務者、Cさんを保証人と言います。
A(債権者) → B(主債務者)
→ C(保証人)
このような場合、Bさんが詐欺をされていたなどの事情で取消権を有していたとします。
もし、Bさんが取消権を行使すると、保証人であるCさんも助かることになります。
ですから、Cさんとしては、Bさんの取消権を行使したいですよね。
でも、CさんはBさんの取消権を行使することができません。なぜなら、120条の取消権者に保証人が入っていないからです。
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■ 編集後記 ■
今日の豆知識で、紹介したことは446条からの保証人のところで詳しく説明しますのでよくわからなくても安心してくださいね。
保証人が取消権を行使できないと、保証人はかわいそうですよね。そして、取消ではなくて解除の場合でも、保証人は主債務者の解除権を行使することはできません。
実は、これと似たような問題が、今年の司法試験の民法で出題されました。
今、司法試験の問題を見ても分からないと思いますが、司法試験にどんな問題が出題されているのか興味のある方もいると思いますので、参考までに紹介します。
わからなくても、全然気にしないでくださいね。ただ、自信のある方は一度自分なりに法律構成してみてください。
〜 司法試験 平成17年度 民法 第1問 〜
工場用機械メーカーAは、Bから工場用機械の製作を請け負い、これを製作してBに引き 渡した。その工場用機械(以下「本件機械」という。)は、Bが使用してみたところ、契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに,不具合があって1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないことが判明した。そこで、Bは、直ちに本件機械の不具合をAに告げて修理を求めた。この事案について、以下の問いに答えよ。なお,各問いは独立した問いである。
1、Bはこうした不具合があったのでは本件機械を導入する意味がないと考えているが、本件機械を契約どおりの商品生産能力の機械とする修理は可能である。Aが修理をしようとしないので,Bは代金を支払っておらず、また、Bには商品の十分な生産ができないことによる営業上の損害が発生している。この場合に、Bの代金債務についての連帯保証人であるCは、Aからの保証債務の履行請求に対してどのような主張をすることができるか。
2、Aが修理をしようとしないため、Bはやむを得ずDに本件機械の修理を依頼し、Dは修理を完了した。その後,Bは,営業不振により高利貸からの融資を受ける状態になり、結局、多額の債務を残して行方不明となり、Dへの修理代金の支払もしていない。この場合に、Aは本件機械の引渡しの際にBから代金全額の支払を受けているものとして、Dは、Aに対してどのような請求をすることができるか。
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